円盤? リリイベ? 森林コンビのお茶会は宇宙で開かれるのだろうか。うーん、やっぱり謎だ。

「すっかり打ち解けたようで良かったですね。リリイベというのは僕にも分かりませんが……円盤というのはブルーレイやDVDの類でしょう」
「なるほど、DVDが発売されるのか。やっと分かった」
 次の福祉講習会の件でサ店に立ち寄り、森本さんと林さんの近況を須崎さんに伝えた。
「俺、今回本当に何もしてないんですよね。須崎さんが二人の過去のしがらみに気がついてくれたのと、このサ店という場所を提供してくれたから、二人は打ち解けることが出来たんですよ」
「いいえ、そんなことはないですよ」

 店内は相変わらず盛況だ。須崎さんと俺は、店の外にある折り畳みベンチに座った。
「チャンスや場所があっても、縁を回そうとするエネルギーがないとそこには何も生まれません。大川君には、縁を回すエネルギーを持っています。この団地になくてはならない人だと思いますよ……上手に言えなくて申し訳ない……伝わっていたらいいんですが」
「何となく分かりました。だけど俺なんかにそんな力、あるのかなぁ」
「縁を繋ぐ再生課の仕事、続けてみたいと思っているのでしょう?」
「ど、どうして分かったんですか?」

 この仕事をもっと頑張ってみたい。そんな強い気持ちに、自分自身戸惑っていた。それを須崎さんは見抜いていたようだ。さすがマスターだ。
「良い仕事だと思います。人と人を繋ぎ、再生する場所を作る」
「はい」

 店の前で風になびくイヌツゲの木に、白い花が咲いていた。花が咲き終わったあと緑色の実がなり、やがて濃くなっていくのだそうだ。