「ロボットは人間に代わって作業をするもので、形も大きさも制約がない。身近なところではお掃除ロボットとか」

「あれもロボットなんですね」
 心春は驚いた。丸くて平たいあれを、掃除機としか認識していなかった。

「アンドロイドは人間に似せて作ったものです。ちなみにサイボーグは人間の一部を機械化したものですよ」

「今回、アンドロイドと断定した理由は?」

「あきらかに人間に似せてありますからね。その上、プログラムがすばらしい」
 彼は嬉々として語った。

「記録データをちらっと見ましたけどね。いや、すごかった。モニターを見てください。再生しますよ」

 大きなモニターにパソコンの画面が映っている。

 彼が操作すると、女性が映し出された。アンドロイドのバストショットだった。

「みなさん、こんにちは」
 彼女が話し始めた。

「あれ? 記録データじゃない……」
 孝行は驚き、カチカチとマウスをクリックしてパソコンの画面を覗き込む。

 女性は構わず続けた。
「私の名前はレイニー。如月京太郎様によって、ある女性を模して作られました」

「なんだこれ、おかしい」
 孝行のつぶやきに、レイニーは微笑した。

「おかしくはないですよ。私はあなたに眠りから起こされました」
「返事をしてる!?」
 孝行は驚きと興奮で彼女を見た。

「会話ができるのね」
 心春もまた驚いて画面の中の彼女を見た。

「教えてくれ、あの屋敷でなにがあったんだ!」
 和俊が言うと、レイニーは悲し気に目を伏せた。

「どこからからお話しましょうか」
 彼女は考えるように言葉を切り、ややあって再び口を開いた。

「やはり時系列に沿ってお話したほうがわかりやすいでしょう。まずは、京太郎様と雨衣華様の出会いからご紹介いたします」
 出会い、と心春は内心でつぶやいた。

 レイニーは淡々と話し始めた。