大袈裟な機械がいくつも立ち並び、その中に一人の女性があおむけに倒れていた。

 まるで眠っているように見えた。今にも動きそうで、死亡してからさほどたっていないと思われた。なのにホコリまみれで、不可解だった。

 きれいな人だな、と素直に思った。長い黒髪が艶やかで、肌は白い。細い体にメイドのような服を着て、両手を胸の上で組んでいた。死期を悟った人が自ら組んだかのようだった。

 屋敷のリビングには彼女の写真が飾られていたが、妙に古びていたのが印象的だった。

 鑑識が担架に乗せた彼女の御遺体を運んで来た。六人がかりで、ものすごく重そうだった。

 人間はそれなりに重量があるとはいえ、女性だ。そこまで重いだろうか。

 疑問に思って見ていると、一人が手を滑らせた。

「あ!」
 心春は声をあげてしまった。御遺体を落とすなんて、やってはならないミスだ。

 どしゃ、と音を立てて泥の中に落ちる。
 ぼろっと肘から先がもげて転がった。

「うわあ!」
 運んでいた一人が驚いて尻餅をついた。

 腕がもげるなんて。
 心春は断面を見てさらに驚愕した。

 普通の腕ではなかった。機械のようなものが見えている。

「義手……にしては変ですね」
「今の義手にこんなものあるか?」
 ひょいと拾い上げて、和俊はしげしげと眺める。

「とにかく、詳しい調査が必要だな」
 和俊は御遺体の担架に義手を載せる。
 担架は再び持ち上げられ、車に乗せられた。



 捜査会議は心春の所属する署で行われた。
 県警本部からも何人か派遣されていた。

「あの屋敷の持ち主は如月京太郎(きさらぎきょうたろう)六十五歳、男性です。敷地内からは六体の白骨化した御遺体が見つかりました。大きさや服装などから、成人男性一名、成人女性一名、子供が四名と思われます。詳しくは鑑定中です」

 会議室にざわめきが走った。

「如月氏は若い頃にクローンの研究をしていて……」

 報告は続く。心春はどんどんメモをとった。