京太郎は再びクローンを作った。
今度は慎重に、絶対に外に出ないようにと京太郎もレイニーも気を配った。
家のあちこちにセンサーやカメラを置いて、常に新しい雨衣華を見張った。
六歳になったとき、彼女はインターネットを知った。
インターネットで知る世界はどれも魅力にあふれていた。
中でも芸能人は魅力にあふれていた。
かっこいいって、ああいう人のことを言うのね。
楽しそうにくすくすと雨衣華は言った。
そうか、と京太郎は言った。
その晩、彼女は階段から落ちて死んだ。
レイニーは一人目の彼女の横に埋葬し、紫陽花を植えて手を合わせた。
***
「ひどい……命をなんだと思ってるの」
心春は動揺してつぶやいた。
「それほど、京太郎様は雨衣華様を求めておいででした」
レイニーは無感情に言う。
「ロボット三原則は!」
驚いた孝行が言う。
「そのような不自由なものは私に組み込まれていません」
レイニーの言葉に、孝行は唖然とした。
「ロボット三原則ってなんですか?」
心春が聞いた。孝行が答える。
「海外の作家が言い始めたもので、現在のロボット工学でも使われている。ものすごく簡単に言うと、人を傷付けるな、人の命令を聞け、その二つに話しない限り自分を守れ、という内容だ。人を埋めるのは傷付けてはいないという解釈もできるが……」
「それで、どうなったんだ?」
和俊が続きを促す。
「そうして、三人目……いえ、オリジナルを含めたら四人目となる雨衣華様が生まれました。それに先駆けて、クローンの京太郎様が生まれました」
心春は驚き、レイニーを見た。和俊も孝行もまたレイニーを見つめ、次の言葉を待った。