リシャールは魔力を増幅する紙について思案した結果、北方に棲息する“魔力を増幅する器官”を持つ素早い魔物の素材を使うことに決めた。アランたちに聞いたところ、目撃情報が多数あった。新鮮な方が良いので、アランたちに頼み、領民の何人かを連れ北方の拠点に行く。王国魔術師団とも顔を合わせ、フロランスたちともにリシャール考案の罠で魔物を捕獲する。その場で紙を漉き、魔力を増幅させる和紙“魔力増幅和紙”を作る。王国魔術師団に試しに使ってもらうと、今までの魔法札の10倍近い効力が得られた。報酬として多額の金品を貰い、リシャールとフロランス、領民たちは領地に戻る。魔術師団幹部に視点変更。“魔力増幅和紙”で無事に防護結界を張り直す。幹部はあまりの効力に感激し、アランたちとともに国王に報告すべきだと考える。幹部は王宮に帰還し、国王にリシャールの話をする。視点変更終。
 次は、以前使った火焔蜥蜴の残りを加工し、絶対に燃えない和紙“不燃和紙”を作る。完成したところで勇者パーティーが領地に来て、S級魔法使いの火魔法でも燃えない和紙に驚く。リシャールは“不燃和紙”を渡すと、「討伐できたら君の名も歴史書に刻んでもらう」と言われる。勇者視点に変更。“不燃和紙”のおかげで、大変に強力な龍を討伐できた。国王への討伐報告時、リシャールのおかげだと話す。視点変更終。
 和紙のおかげで領地も徐々に発展しており、リシャールは領民から感謝される日々を送る。ある日、月虹商会から新しい依頼――紙で作った服や鞄の製作を受ける。王女が新しいタイプの衣服が欲しいとのこと。リシャールはフロランスや領民と一緒にデザインを考え、和紙の服を作る。月虹商会が王女に届けたところ、大変に喜ばれる。紙服は宮殿、市民にも流行する。王女と国王はリシャールに会いたくなり、エルフ国との国境回復の会議への出席を打診し、リシャールも王宮に向かう。
 一方、実家。月虹商会を経由してリシャールの良質な紙が流通し、経営が傾く。リビオがジョブで良質な紙を作ろうとするも悉く失敗し、高価な素材を無駄にする。リビオと父は王国の宝物庫にある貴重な紙を盗みだし、それを元に紙を作ろうとする。だが、盗む最中で騎士団に捕まり紙を破く。実は、その紙は絵画が趣味のキアラ姉に絵を描いてもらい、国交回復の証にする予定だった。リシャールは国王と王女に相談され、特大の最高峰の和紙を作る。キアラ姉が素晴らしい絵を描き、無事に王国とエルフ国は国交が回復。リビオと父は爵位を剥奪され、リシャールに助けられたことを知り、監獄行きとなる。リシャールは大好きな紙を漉く毎日に戻る。