中世ヨーロッパ風異世界ファンタジー。

不老不死の悪魔の力に目覚めた主人公が、自殺も許されないことに絶望しながらも仲間たちの助けを受けて立ち直り、自分の使命を見つけていく物語。

プロット内用語は最後の方で説明しています。

以下の登場人物の年齢はアルスと出会った当時のもの

アルス:悪魔の子の子孫として上級上位の悪魔のメシアラをその身に宿す。妹のチセを探すため勇魔大陸を転々とする。しばらくは覚醒悪魔へとは至らない。スピニア帝国出身。誕生日は一月二日。
勇魔歴四百三十三年にヴァレーを訪れた理由はスピニアからノリアへの中継地点として利用したかったから。

アリア:ハーフエルフの水髪少女。魔法の扱いが得意な行商人で、アルスに魔法の基礎や生活に必要な知識、行商に使える知識などを教えてくれた人。スピニア帝国の商業都市近くで殺されたと思われていたが、逃げのび、生存していたことが判明。それまでの間はキオルトラ共和国のエルフの森に身を隠しており、アルスが立ち寄った際に再会を果たし、チセを探す協力をする。水の勇者と治癒の勇者を宿す覚醒勇者。証は流療(ルレイ)

チセ:アルスの妹で天の巫女。勇魔歴四百二十九年に三国同盟の計画によって連行。ノリア帝国の地下施設で幽閉されていた。捕まってから六年後。十六《勇魔歴四百三十五年》となるときに天の巫女として覚醒し、信託を下すようになる。ノリア帝国で悪魔の子の子孫や、悪魔にかかわる事象を調べさせられ続ける。覚醒した時点で体の老化は止まり、不老となる。神の力の一部を授かっているが、本人はしばらく気付かずそれからも劣悪な環境の中で四肢を縛られ神からのお告げを言わされていた。誕生日は四月二十五日。

ピニア:封印の勇者。第一次勇魔大戦からの唯一の生き残り。回生の祠と呼ばれる勇魔大陸北側にある遺跡で数百年間眠りについていた。勇魔歴四百年ごろに目覚め、少しずつ現代についての知識を蓄え、アルスが悪魔の子の子孫として覚醒するころにはスピニア帝国の辺境都市で冒険者として活動していた。アルスが一人旅を始めてから最初に出会うキー人物。アルスにかけられた虐殺の呪いが発症したのをきっかけにアルスが森林に引きこもっていたところを、勇者の力でその呪いを敵だと認識した相手以外には発動しないように封印。しかし、力を使い果たし死亡。回生の祠で生き延びてはいたが力が弱まっており、寿命は目覚めてから三十年程度だと予想されていた。覚醒勇者。証は刻静(こくせい)

アリス:悪魔の子の子孫。ノリア帝国の小さな村で暮らす少女。齢十三《勇魔歴三十二年》で悪魔の子の子孫として覚醒し、周囲には隠している。親の刻印魔法が施された眼帯で赤い左の瞳と魔力を隠しているため、隠し通せている。周りには優秀な火の魔法使いとして通しているが、中級上位悪魔のマグマ《能力:炎の操作》の力で炎を操っている。ある日村の近くの森に獣を狩りに向かっていたところ、下級悪魔に遭遇。眼帯で制限された力では力及ばず、制限を解除して力を使う。下級悪魔の討伐には成功したが、その魔力を感知したアルスと出くわす。マグマの本能的恐怖でアルスが悪魔の子の子孫、それも自身と同等かそれ以上の悪魔を宿す存在であると判断。アルスもそれを認知し、少しだけ脅したのち冗談であったと告げる。それからしばらく行動を共にし、アルスはアリスの力の制御の方法と扱い方について指導する。そうするうちにマグマの力が高まり、第一次勇魔大戦当時の力を取り戻す。アリスの自意識を乗っ取り、アルスに襲い掛かるもメシアラの力に敢え無く敗北。アリスの左目に封印された。アリスは力だけは残されていたのでその後その村の守護者として名を刻んだ。
案内人をしていた理由は家が貧乏だったから。

ミール:上級上位の悪魔アヴァーナを宿す少女。齢九つの少女で勇魔歴百二年に悪魔の子として復活したアヴァーナを宿し、体の成長が止まり寿命が大幅に伸び、勇魔歴四百年を過ぎてもなお生きている。ミールはキオルトラ共和国の出身であったが悪魔の子として覚醒したことが判明した際に焼き討ちにあう。両親によって海に流され生き延びる。その後キオルトラ共和国の最東端に位置するエルフの森の近くの海岸に打ち上げられ、アリアに発見されて介護される。悪魔の子であるということはアリアに告げていたが、アリアはそれでもミールを助け、森全体で庇った。人間による調査もやり過ごし、その後三百年エルフの森で過ごす。アルスがエルフの森を訪れた際、アリアに紹介されてアルスと出会う。自身に宿るアヴァーナとは時折会話を交わしているという。覚醒悪魔

シューナ:勇者の子。金髪碧眼が特徴のキオルトラ共和国の貴族の娘。ヒディアス家の令嬢の次女。剣の才能を持ち、幼少期から剣士としての腕を鍛えた。剣の実力は共和国内暫定三位。四年に一度行われる剣技大会での十三歳の時の成績だ。十五歳《勇魔歴四百三十三年》の少女だが、勇者の子であるからその実力は絶大。宿す勇者は剣の勇者クシス。聖剣技エクスカリバーを扱い、悪魔に対して振るえば掠るだけでもその魂を浄化させられる。一対一に特化した勇者を宿す。手にする剣は聖なる力を具現化させた金聖剣。刃が黄金に輝くのが特徴。エルフの森で覚醒勇者になり、アルスの恋人となる。証は双聖(そうせい)

ミリア:シューナの姉。知恵の勇者の子のその子孫。覚醒はしておらず、訓練も積んでいないため勇者としての実力は最底辺。ヒディアス家の次期領主であり、すでに婿を迎えている。そもそもヒディアス家は真の意味で勇者の子の子孫であり、まさしく先祖返り。ヒディアス家の家名は当時の剣の勇者の子の名から来ている。アルスとシューナを探しにエルフの森に向かうも、発見は出来なかった。

メシアラ:上級上位の悪魔。二つ名は冥府の帝王。能力は不老不死《自身の背負う使命を果たすまで決して死なない》。悪魔の子としては復活しなかったとされているが、実際は勇者のいなくなった世界に絶望し自ら自身を封じていた。

アヴァーナ:上級上位の悪魔。二つ名は暴食姫。能力はあらゆる物質を食らえること。悪魔の子として復活したのち、討伐されることなくエルフの森で生存していた。元はアリアの知り合いの少女《名前はミール》で、人間の子どもであったがベルゼビュートが宿ったことで絶大な力を持つ。しかし自我を侵食されることはなく力だけを操れた。これはベルゼビュートもまた現世に絶望し宿ってしまった少女に命運を託そうとしたからである。少女の人生を共に過ごす中で少女に関心を持ち、ミールと仲良くなる。エルフの森の民たちはミールを歓迎し、人間たちから庇っていた。

セリウス:上級上位の悪魔。二つ名は冷酷の智者。能力は魂の操作。悪魔の子として復活した際、火の勇者に乗っ取られた。第二次勇魔大戦で悪魔の子たちの総指揮を執った。宿った相手の意識を完全に乗っ取っていたため第一次勇魔大戦の頃のように敏腕であったが魂の操作を完璧にこなすほどの力は取り戻しておらず勇者の子に討伐される。

マグマ:中級上位の二つ名を持つ悪魔。二つ名は炎魔。能力は炎の操作。紀元前、悪魔が世界に存在していた頃悪魔の最高峰の一人である上級中位の悪魔エンマ《二つ名は地獄の王》に与えられたその二つ名に恥じない力を発揮し、第一次勇魔大戦では大いに活躍した。そのたくみな手腕と知恵、力を操る技術によって上級中位にも勝るとも劣らないだけの実力を持っていた。しかし悪魔の子として復活した際には宿った人間に才能がなく、能力を発揮しきれなかったことと知恵や手腕と言ったマグマの長所を生かせず敢え無く死亡。三百年後、悪魔の子の子孫としてアリスに宿る。

雷の勇者:人類最後の四大勇者の一人。名前はウラヌス。死因は寿命。
炎の勇者:人類最強の四大勇者にして、サタンを討伐し、取り込み、第一次、第二次勇魔大戦で悪魔たちを指揮した元締め。水の勇者と地の勇者を倒した。最後にアルスに討伐される。

以下、プロット内用語の説明
悪魔:生きとし生けるものを殺すという行動理念のもとに生きる獰猛な生き物。怪しく輝く赤い瞳が特徴。
勇者:人類の希望。寿命が長く、身体能力が高い。圧倒的な聖なる力(悪魔特攻)を持つ。透き通るような青い瞳が特徴。
悪魔の子:人に乗り移った悪魔。特徴としては乗り移られた人間の瞳は赤く輝く。悪魔本来の力が強いほど瞳は赤く輝く。
勇者の子:勇者の血縁者や勇者の生まれ変わり、先祖がえりした者を差す。勇者ほどではないが聖なる力を持つ。青く光り輝く瞳が特徴。勇者としての力が強いほど瞳は青く輝く。
悪魔の子の子孫:悪魔の子と同様に人に乗り移った悪魔。第一波を悪魔の子、第二波を悪魔の子の子孫と言う。両目、もしくは片目が赤く輝いている場合がある。悪魔の子と同様、力が強いほど瞳は赤く輝く。
覚醒悪魔:人に宿った悪魔が完全に力を取り戻した状態。肉体の老化が止まる。悪魔の能力を完全に扱えるようになる。瞳が悪魔のように怪しく、赤く輝く。
覚醒勇者:勇者が覚醒した状態。勇者の子と呼ばれる存在の身にも起こる。肉体の老化が止まる。勇者の証を得る。瞳が透き通るように青く強く輝く。

第一次勇魔大戦:紀元前200年に起こった勇者と悪魔による争い。上級上位悪魔と呼ばれる三体の悪魔、セリウス、アヴァーナ、メシアラを四大勇者である水の勇者、火の勇者、地の勇者、雷の勇者が討伐したことによって終結。

勇魔歴:勇馬大戦終結後最後の四大勇者雷の勇者ウラヌスが死亡したその日から始まった世界共通の時代区分。二十四時間で一日、七日で一週間、四週間で一か月、十二か月で一年。

第二次勇魔大戦:勇魔歴百二年、二月二十三日に起こった悪魔の復活を機に始まった勇魔大戦。悪魔は完全体ではなく悪魔の子として復活した。それを勇者の子孫たちが討伐し、約三か月で終戦した。

ノリア帝国:勇魔大陸西側に位置する巨大国。元々は三つの国からなっていたが第一次勇魔大戦によって滅んだ二つの国をノリア国が支配し、今に至る。国主の名はノリア帝国十五代目帝王ノリア・オレアル・キネル。


キオルトラ共和国:勇魔大陸東に位置する商業国で、国の大部分が海に面している。勇魔歴二百一年に誕生した国。漁業が盛んで、亜人などの受け入れもされている。国主の名は九代目国王キオルトラ・ミレク・シルト。

スピニア帝国:勇魔大陸の中心に位置し、流通の全体を管理する立ち位置。他の人間の国への貿易が盛んで、関税だけで国庫を切り盛りしているほどの経済難。勇魔暦十二年に誕生してから第二次勇魔大戦を凌ぎ、なおも存命というだけで評価されるような国。勇魔歴四百二十年に国王が亡くなってからは齢十九となる王女が国の運営を行っている。国主は十一代目国王の娘、オリアドル・キリール・シクア王女。

ヴァレー:スピニア帝国とノリア帝国の国境に位置する都市の名前