「大丈夫かいラゼル?」
 
 「うん、リスタこそ大丈夫? その……左肩怪我してたけど」
 
 するとリズ達も私の元に駆け寄ってきた。
 
 私はリスタの左肩を見ると服が血で染まっていた。

 恐らくローゼの影をずっと相手してくれていのだろう。
 
 リスタは私の左肩を見て納得する。
 
 「これかい?  これぐらい大したことはない。そんなことよりもラゼルの方が酷い怪我だよ」
 
 するとリズ達は私の体を見て『すごい傷……』と言葉を漏らしている。

 確かにこの怪我はひどい。
 
 「ラ、ラゼル! 大丈夫なの?」
 
 「あはは……ちょっと無理しちゃったみたい」
 
 するとレズリタが私の前に来て魔法を発動してくれる。

 そのおかげで徐々に傷などが消えていき私の体は回復する。
 
 「ふう......まだ無理しちゃ駄目だよラゼル」
 
 レズリタがそう言うとリズが涙目になりながら抱きついてきた。

 そして小声でこう言うのだった。
 
 「良かった……死んじゃうのかと思った……」
 
 その目は少し赤く腫れているように見える。

 どうやらすごく心配させてしまったらしいな。

 確かに戦いの途中から感覚が無くなっていた。

 恐らくアドレナリンによって和らげられていたのだろう。
 
 そしてリズの温もりを感じていると横からエリックが話しかけてくる。
 
 「ラゼル……もう無理はやめろよ。一人で抱え込むのは無しだ」
 
 「エリック……うん、分かったよ。これからはちゃんと相談する」
 
 「おう! 俺らはパーティーだ!  仲間を頼れよ!」
 
 エリックはそう言うと、私の肩を軽く叩く。

 そしてリズも私から離れて涙を拭う。
 
 するとリスタが私に話しかけてくる。
 
 「ラゼル、先ほど気絶したクルスは一体どこに?」
 
 「クルスならあそこで寝てるよ」
 
 私がクルスの倒れている場所を指さす。

 まだ寝ているようで起きる様子はない。
 
 「とりあえずクルスは正気に戻っているか分からない以上、拘束させてもらう」
 
 「そうだね、じゃあ私が糸を出すよ」
 
 私はスキルを発動しようとするとリスタとリズ達が止める。

 流石にもうボロボロの状態だから動いちゃ駄目だそうだ。
 
 そしてクルスの拘束をリスタが行い、私たちは陛下達がいる避難場所に向かうのだった。

 目的の場所に到着するとそこには多くの人々が待機していた。

 どうやら皆避難出来ていたようだ。
 
 すると近衛騎士団の兵士が私たちの方へ近づいてくる。
 
 「団長! ご無事でしたか!」
 
 「ああ、ラゼルのおかげでね」
 
 リスタと兵士が話していると多くの冒険者が私たちの元にやってくる。
 
 「ラゼルさん! この度はありがとうございます!」
 
 「ラゼル様! お怪我はありませんか!?」
 
 冒険者達が私の元に集まり感謝の言葉を言ってくる。

 だが私は少し気まずくて下を向いてしまう……。

 リズ達も少し緊張しているようだった。

 そうして注目を浴びていると近衛騎士団や市民も私たちの元にやってくる。
 
 「ラ、ラゼルさん! 街を救ってくださりありがとうございます!」
 
 「リズさん達もありがとうございます!」
 
 すると今度は市民から『ありがとうございます!』という声が多く聞こえるようになる。

 やっぱり恥ずかしい……こんなに注目されるのには慣れないなぁ。

 そんなやり取りをしていると陛下が私たちに近づいてくる。
 
 「よくやったぞラゼルよ」
 
 「ありがとうございます陛下……ご無事なようで安心しました」
 
 「うむ、そなたも無事でよかった」
 
 私にそう言うと次は冒険者や近衛騎士団に視線を送る。
 
 「そなたらもよくやってくれた。 報酬は後ほどギルドに手配しておく」
 
 すると兵士や冒険者は頭を下げ『ありがとうございます!』と再び感謝の言葉を発する。
 
 「リスタもご苦労であった」
 
 「ありがとうございます陛下。冒険者や近衛騎士団の者、ここにいる者は皆リザースを守る為に力を尽くしてくれました。ここにいる彼等には顔が上がりません」
 
 「ふふ……そうだな」
 
 そう返事を返したあとすぐにリスタは部下達に指示を出し始める。

 恐らく負傷者の手当をさせて欲しいのだろう。
 
 陛下はこの場を立ち去る準備を始める……すると私に声をかけてくる。
 
 「ラゼルよ、今から我らは王城に戻る。そしてしばらく事が落ち着いたらお前たちの功績を称えたい、事が落ち着き次第、使いを送る故楽しみにしていなさい」
 
 「ありがとうございます陛下!」
 
 私は陛下にそう返事をすると、陛下達は王城に向かって戻るのだった。