その光景を見るたびにこの国は良い国だということを実感させられる。
「明日だね~! 大会!」
「ええ! 絶対勝つわよ!」
レズリタとリズが柄にもなくそわそわしながら声を高らかに上げる。普段からこんなに感情をあらわにした姿を見ないからな……。
少し不安だがやるからには優勝を狙っている。全力でいけば大丈夫なはずだ――――。魔力も回復しているから明日の大会に向けては問題なさそうである。
「ちょっと緊張するな......」
「大丈夫だ! 4人の力を合わせれば怖いものは何もない!」
私の不安に対してエリックが胸を張って応えてくれる。確かにこの4人ならいける気がする……。だが私達はSランクと言っても駆け出しなので、油断は禁物である。
そして私たちは談笑をして一日を過ごのだった。
朝、目が覚めるとベットから起き上がるとなにやら外が騒々しいことに気付く。窓をのぞくと明らかにいつもの風景とは違う雰囲気を漂わせている。
今日は祭りだからかと思いながら外に出るとそこには目玉が飛び出るほどの光景が広がっていた。
人々でにぎわっている屋台の数々、明るい表情をしている顔ぶれなどしているからだ。するとエリックも目を覚まし、私の隣にやってくる。
窓越しに眺めているエリックに聞いてみるとどうやらこの騒ぎは国王様が今回する祭りに関して公表したからみたいだ。こんなに盛り上がるなんて思っていなかったので驚いてしまう。
だがこんなに国民を熱狂させる祭りとなれば多くのSランク冒険者が参加してくるだろう……。つまり戦わなくてはならない相手が増えると言うことになる……。
だがここまで来たら最後まで大会を楽しむのが懸命だろうと思い、少し跳ね気味な気持ちを抑えて朝食を取ることにした。そして私たちは昨日以上の人通りを掻き分けて城壁に向かった。
もう朝早くでもこれくらいの賑わいを見せるのだ、大会になれば大騒ぎだろう……。私達は問題なく城前までやってくることが出来た。
するとそこには多くの民が待ち構えており、祭りの盛り上がりを感じ取れる。どうやら開会式があるから皆こぞって見に来たのだろう……。
すると皆が通る大きな入口とは別に裏手のほうに小さめの入口が存在していることに気が付く。
「俺たちはあそこに行くぞ」
どうやらエリックの話によると私たち冒険者は小さめの入口を使って中に入るらしい。こっちの方が落ち着くし私としては構わないが……。
すると突然大きな音が鳴り響き、その方向に振り向くとなんと上空に花火が上がるのが見えるではないか……。
恐らく王国騎士団が行う花火の魔法だろう……綺麗な光だ……。
するとここで一人の騎士が壇上に上がってくると声を張り上げ話し始めた。
どうやら今から開会式が行われ、その後そのまますぐに試合形式の説明があるらしい。