オスカルは瞬時に反応し、私の糸を避ける。
 
 先ほどからずっと不気味に笑っていたのが突然、眉間にしわを寄せこちらを見る。
 
 何が起こっているのか理解できないいのかオスカルは急に大声を出す。
 
 「なんと! 私の能力をコピーしたんですか!? やはりあなたは素晴らしいぃ!」
 
 何もかも理解できないのかずっと驚いている様子だ。だがそんなことはどうでもよい……。私はもう一度スキルを発動する。
 
 《星糸ッッッ!》
 
 もう一度オスカルに向けて糸を放つ。だがオスカルも同様に私が発動したスキルを行使する。やはりまずい……このままでは決着がつかなくなりそうだ……。

 どうにかして考えないと、この状況を突破できる方法を考えるしかない。私は思考を巡らせる。
 
 すると1つ案が閃いた……。私の持っているスキルを組み合わせることは出来ないのだろうか? もし出来たならこの状況を打開することが出来るかもしれない。怖気付く気持ちを抑えて私はやってみることにした。
 
 今はこれしか方法は無いと信じて……。
 
 《闇糸》
 
 すると先ほど私が出した糸が漆黒に染まりはじめる。不気味な色になった糸だが威力は桁違いに上がっているのを感じる。
 
 おそらく破壊力も速さも、先ほど私が出した《星糸》よりも遥かに上だろう……。放たれた闇糸はオスカルの腹部まで届く。

 私の見立てが正しければ奴はこれで終わりだ。私はそう思いオスカルの方を見る。
 
 その場にうずくまる男の姿が見え、腹部からはダラダラと赤黒い血が吹き出している。
 
 「なんて凄いんですか!? そのスキル!」
 
 オスカルは苦しみながらも楽しそうな声でこちらを見てくる。
 もう戦う力も残っていないのか立ち上がるようなそぶりも見せずに腹部を抑えながら笑い声をあげる。

 これ以上は立ち上がらないと思い、私はリズ達の様子を見る。すると丁度最後の教徒をリズ達が片付け終わったところだった……。
 
 「ラゼル、なんとかこっちは倒せたわ」
 
 そう言うとリズは剣をしまい、エリックも大きなため息をついている。どうやらさっきの戦いが結構厳しかったらしい。辺り一面ボロボロだし……。

 レズリタもどうやら立っているだけでかなり体力を使ったようで座り込んだ……。するとエリックがオスカルに向けて口を開く。
 
 「お前らのアジトはどこだ?」
 
 エリックがオスカルにそう言い放つ。

 そうするとオスカルは軽く微笑んだ後に空を見上げ、薄ら笑いを浮かべながら喋り出す。