馬車は揺れることはなくスムーズに進むことが出来ており私たちは馬車の中でゆっくりと時間を過ごしながら到着するのを待った。

 そして数時間経った頃だろうか、ドレアがあると言われている山が見えてくる。
 
 遠くからでも異様な存在感を放っているのが分かり、その山々はまるで地獄の釜のような雰囲気を醸し出しながら聳え立っていた。

 私たちは馬車の中から外の景色を見つめているとレズリタは怖いのか先程から黙り込んでしまっている。
 
 それも仕方ないことだろう、なぜならあのドレアが眠っているとされる場所は絶対に踏み入ってはならない場所であるのだから。
 
 少しの時を要して馬車は目的地である山の手前まで着く。御者の人はここまでしか行けず『危険なので気を付けてください』と言われた。

 その忠告には素直に従って私たちは馬車から降りる。そして目の前の光景を見て思わず息を飲んでしまうほどの絶景が目の前にあったのだ。
 
 「ちょっと怖い山だね」
 
 「ああ、異様な雰囲気を纏ってやがる」
 
 リズとエリックも目の前に聳え立つ岩肌の山を目の当たりにして少し萎縮してしまっているようだった。
 
 確かにこの山の中からは明らかに異様な感じがするな……嫌な気配が漂って来てる……。それにまるで近寄って来るなと言われているかのような雰囲気が漂っているぞ?

 そう思いながら準備をして山の中へと進むことにする。

 私は恐怖を顔には出さないようにしつつも慎重に歩みを進めていくことにしたのだった。
 
 「ここから辺なんか魔力を感じない?」
 
 レズリタが険しい顔をしながら口を開く。たしかにレズリタが言っているように周りからは魔力を感じ取ることが出来る。

 きっとドレアの場所が魔力を発生させているんだろと思い、しばらく歩いていくと目の前に洞窟が見えたのでその場所に向かって行くことにした。

 中に入ると暗いため私たちは魔法で明かりを作り出しつつ進んでいき最深部へと向かうことにする。
 
 「ちょっと洞窟怖いんだけど!?」
 
 「帰ろうよ~」
 
 リズとレズリタが怯えるようにして声をあげる。
 たしかに怖いな、だけどここまで来て引き返す訳には行かない……。
 
 どんな物が待っているか分からないけど頑張りたいという気持ちはあるからな。
 
 私は恐怖を心の中で押し殺しつつ最奥地へと歩みを進めて行った。
 
 「まだ奥があるの?」
 
 「そうみたいだな、ここまで奥に行くと迷子になっちまうぜ」
 
 ここまで来たら仕方がない、進むしかない。私たちは洞窟の最深部であろう場所へと足を進めることにしたのだ。
 
 「ここら辺にありそうじゃない?」
 
 私が声をかける。最深部にはドーム状のような空洞が広がっており、私たちが見上げる先には天井があり、小さな鉱石が埋め込まれているのが分かった。
 
 「あの鉱石がドレアなのかな?」
 
 「いや、確か黄色の綺麗な鉱石って言ってたから違うと思うぜ?」
 
 私たちは4人で辺りを見渡すがドレアは見つからない。ドレアは一体どこにあるのだろうか?するとさらに奥へ繋がる道をレズリタが見つける。