その言葉を受けて私達はその場を後にする。

 すると扉の付近で待っていたリスタが歩いてくる。
 
 「ラゼルの能力は実に興味深いな……」
 
 興味ありげな顔で言ってくるリスタ。

 私の能力を発動する時は大体驚かれる事が多く慣れないものだ。
 
 そして私たちは陛下に敬礼をしリスタと共に扉をくぐるのであった。
 
 そして王城内から出たリズ達は胸を撫でおろすような感じで息を吐く。
 
 「凄い緊張したよ~」
 
 「初めてだし、心臓が口から飛び出そうだった!」
 
 それぞれが思い思いのことを口にして安堵の表情をみせている。

 そんな中エリックは息を大きく吐きながら口を開いた。
 
 「陛下の雰囲気が怖かった、近付いただけで首が飛びそうだ!」
 
 それは私も感じていた。

 正直なところいつ心臓が破裂してしまうのかと思っていたところだ。

 するとリスタが口を開いて話しだす。
 
 「そういえば君たちはもう冒険者ランクSなんだろう?」
 
 「はい! そうです!」
 
 「ということは大会にも出るのかな?」
 
 リスタの問いに私たちは首を縦に振る。
 
 大会というのはモンスターを狩る祭りみたいなものであり、とても大事な行事なのだ。

 その祭りに参加出来るのはSランク冒険者のみである。

 祭りの内容としては冒険者が狩ったモンスターのレア度などを競うといったものだ。

 その大会に参加するのか聞いてきたのだろう。
 
 「もちろん参加するよ~」
 
 「絶対優勝するぞ!」
 
 レズリタとエリックはそれに答えるように答えた。
 
 2人とも負けるなどと思っていないようで自信ありげな表情である。

 国王と対峙する時に感じていた緊張を一切感じさせないほどこの短時間でいつも通りに戻っていた。

 なにせその祭りで優勝した場合は国家直属の冒険者として雇われるからだ。

 この機会は絶対に逃したくないのだろう。
 
 「楽しみにしているよ」
 
 リスタも楽しみな様子で4人のことを見ている。

 その顔は興味深々なもので面白いものが見られそうだという期待感を感じさせる。
 
 そんな会話などしているうちに宮廷から出ることが出来た。

 空は赤く染まり日も暮れ始めている。
 
 「疲れたし、体を休めたいな~」
 
 「いいなそれ! 俺も武器屋行きたかったんだ!」
 
 「温泉にも行きたいね!」
 
 3人が話しに華を咲かせている。

 祭りが始まるのは3ヶ月後ぐらいだし、少しくらいは休んでも罰は当たらないだろう。

 ここの所ずっと戦闘ばっかで疲労もかなり溜まっている頃だ。

 するとリスタが口を開く。
 
 「ラゼル、良かったら明日僕と食事に行かないかい?」
 
 「......え?」
 
 私は驚嘆の声をあげた。

 今なんて言った? 食事?このイケメンが私なんかを誘っているのか?

  流石に立場が違いすぎてどう対応したらいいのか分からず困惑する私である。

 私を誘っているのはエルミア王国騎士団団長リスタ・ベルリオーズだ。

 王国最強の騎士が私みたいな外れスキル持ちを食事に誘うなんて考える方が難しかった。
 
 そんな固まっている私を見てリスタが口を開く。
 
 「突然誘ってしまったから驚かせてしまったようだ、申し訳ない。」
 
 困ったような顔をしたリスタを見てリズ達は焦ってしまう。

 騎士団長に謝られるのはイメージも崩れるし、王国最強の騎士に頭を下げさせてしまうのは正直気が引けてしまうため余計に焦っている様子だ。

 仕方なく私は言葉を発する。
 
 「いいですよ」