王国騎士団長というワードを聞きリズ達は目を白黒させている。
 
 驚くのも無理はないだろう、なぜなら私の前に王国最強の騎士がいるのだから。
 
 「ええええええ?」
 
 リズ達はいまだに状況を呑み込めていないようだ。
 
 「王都周辺に魔物が大量発生したときは助かったよ」
 
 その言葉を聞きリズたちはハッとする。

 どうやらやっと状況が吞み込めたようだ。
 
 「ま、まさか……! あの時精霊使いですか!?」
 
 リズがそう言うとリスタは大きく頷き満面の笑みで口を開く。
 
 「君たちはこれから国王に会ってもらうことになるのだが、その重圧を感じているようだね」
 
 エルミア王国の国王に会うのだ、緊張するのは仕方がない。

 発言を間違えればそこで人生終了になってしまう。
 
 リスタは続けて口を開く。
 
 「気を張り詰めすぎてしまうのも良くないよ」
 
 リスタの助言通り私は気を張りすぎたかなと思い深呼吸する。
 
 その姿を見たリズたちも私の真似をして深呼吸をし始めた。
 
 そんな私たちを見てリスタは顔を緩め口を開く。
 
 「それでは行こうか」
 
 私達はリスタについていく形で中に入っていく。

 道中では豪勢な家具などがあり、どれも雰囲気と合っていて荘厳だ。
 
 歩き続けること数分、目の前には大きな扉が待ち構えていた。
 
 どうやらこの場所が目的の場所らしい。ここまでは緊張をあまり感じずに歩いてこれた。
 
 だが今は何故か緊張に体が覆われるようだ、この先には王国の頂点がいると思うと嫌な汗が溢れてくる。
 
 その思いを表情に出さないように全員で身だしなみの確認をしリスタの方へと向く。
 
 「準備はいいか?」
 
 リスタの言葉に私達は一斉に頷く。

 それを確認できたのか、リスタは笑顔を見せ口を開く。
 
 「では行くぞ」
 
 そう言って私達を前開きゆっくりと大きな扉は開いていく。

 扉の先には赤い絨毯が引かれており、左右には兵士が二人並んでいる。
 
 そしてその先には大きな椅子があり堂々と腰掛けている人物がいた。

 座っている男の表情は険しいものであり緊張でどうにかなりそうだ。
 
 そのまま真っすぐ歩いていくと私達は膝をついて頭を下げる。

 すると重たい重圧が体にのしかかってくるようで息苦しく感じる。
 
 そんな状況に私は下唇をかみしめて耐える。

 隣ではリズ達も同じことをしているみたいだ。
 
 そんな中私の耳に声が聞こえてきた。
 
 「楽にしてよい」
 
 声をした方向を見るとそこには国王が座っている。

 今まで見てきた誰よりも堂々としていて風格漂う偉大さが感じられ、先程の息苦しさなど忘れてしまうほどだった。
 
 「我が名はバレン・エルミア、エルミア王国の第5代国王だ」
 
 私たちは胸に手を置いて軽く頭を下げる。
 
 「へスターからは話を聞いている。それゆえお前たちに聞きたいことがある」