炎がおさまり段々と鎮火していく中、ヨルフは体のところどころ焦げながらも立ち上がってくる。
「くそがぁ……やられるわけには……いかないんだよ……」
そう言うとヨルフはボロボロな体を引きずりながら森の奥へと逃げていく。
「リズ! こいつは逃がしちゃいけない、今ここで始末するぞ!」
リズも立ち上がりエリックの言葉に頷き剣を引き抜いてヨルフを猛追する。
2人はヨルフに追いつき剣撃を繰り出そうとしていた時だった。
ヨルフは森に向けて手を伸ばし叫ぶ。
「お前ら! 時間を稼げ!!」
すると周囲の木々の中から狼が大量に姿を現し、リズとエリックの前に立ちはだかった。
「なんだこいつら!?」
エリックとリズは驚きに声を上げながらも剣を振るい続ける。
2人とも巧みな剣術で狼たちを倒していくが数は減らず、また増え続ける一方である。
そしてヨルフは森の奥へと姿を消してしまう。
「くそ見失った! だがウルフはここで全部討伐するぞ!」
エリックは声を張り上げて周囲の狼に剣を突き刺していく。
リズも奮起しウルフに剣を振るう。
次から次へと飛びかかってくる狼と戦い続け1時間も経った頃、ようやく戦闘が終わるのだった。
そして私たちは息の上がった状態でその場に倒れ込む。
数時間が立ち、朝が来ると私たちは目を覚ます。
「ん……はぁ……朝か……」
私がそう言いながら体を起こすと3人に声をかける。
3人も私同様にかなり疲労しており、その場に寝っころがっている。
それだけでなくヨルフに痛めつけられていた2人にはかなりダメージがたまっているだろう。
とりあえず周囲の確認をする。
周囲にはウルフの死骸があり、ヨルフを追い詰めたという痕跡は見て取れる。
するとエリック、リズ、レズリタが起き上がり周辺を見渡す。
「取り逃がしちまった」
「でもあの傷ならもうここに来ないと思うわ……」
「本当に死ぬと思ったよ~」
そんな会話をしているとエリックが私を見ながら笑う。
「ラゼルがいなきゃ俺らは負けてたな」
そう言われて私は肩をすくめると自身の体を確認する。
動かしてみるとまだ痛みが走っていたが歩ける状態ではあった。
「ラゼル大丈夫?」
リズとレズリタが心配そうな顔で見ている。
「別にどうってことないよ」
私は2人を安心されるとゆっくりと立ち上がり口を開く。
「ウルフは討伐したし、そろそろ村に戻ろっか」
私がそう言うと全員頷いてくれたので私達は村に向かって歩き出す。