「だから何度言ったら分かるんだ? それとも理解が出来ないのかい?」
 
 エリックも大剣を振り下ろそうとするが剣は空を切ってしまう。
 
 リズは何度繰り返してもヨルフに剣を突き刺せていない。
 
 「この!  なんで!? なんで当たらないの!?」
 
 まるで瞬間移動でもしているかのようだ。
 
 だけどこのままじゃ2人の体力がいつまで持つかわからない。

 「レズリタ、私と魔法を合わせて」
 
 私が指示を出すとレズリタは呪文を唱え、私は手を挙げスキルを発動する。
 
 《ブリザード》
 
 「ボルト!」
 
 2つの魔法は重なり混ざり合い、電撃と共に氷の塊がヨルフに向かって突き進む。
 
 しかし、その攻撃をヨルフはいともたやすくかわす。
 
 「次は僕の番でいいかな?  時間は有限だしさ?」
 
 そう言うとヨルフはエリックとリズの後ろへと回った。
 
 それに気づいていない2人はヨルフが突然消えたことに困惑する。
 
 「なっ……!!」
 
 「えっ……!」
 
 その瞬間、2人がヨルフの攻撃で吹き飛ばされる。
 
 ヨルフは今攻撃をしたのだ……。

 多分瞬間的にしているのだろう。
 
 そうじゃなきゃおかしい。
 
 「どうやって後ろに回ったんだ……?」
 
 エリックとリズが腹部を抑えながら立ち上がる。
 
 するとヨルフが笑顔で答えた。
 
 「普通に走って後ろに回っただけさ」
 
 ありえない速度で移動した後エリックとリズの背後をとったと言う事なのだろうか……。
 
 おそらくこいつの能力は素早さに関連する能力なのだろう。
 
 でもあんなに速い攻撃見たことがない。
 
 「君らそんなに弱くてどうやって冒険者やってるの?  それとも冒険者というのは名前だけなのかな?」
 
 そう言いながらヨルフは私とレズリタに向けて問いかけてきた。
 
 レズリタはその言葉を聞き、イラついた表情でヨルフを睨みつけ魔法を詠唱する。