「た、助けてください!」
 
 と少女は突然現れた私に助けを求めている。少女の近くには剣が転がっており、魔物に怯えている様子だった。

 少女の方を見ていると前方から蛇がこちらに向かって襲ってくる。

 蛇の攻撃をギリギリの所でかわし、私は手を挙げて外れスキルを発動する。

「《コピー》!」

 そう言うが何かが発生する気配はない。
 
 内心、心配と恐怖で焦るが蛇は私を執拗に襲い始める。

 私は逃げる事しかできず、防戦一方。このままじゃジリ貧だ。

 そうすると蛇が毒のような物を吐き出す。

「やば!」

 私は吐き出された液体をかわした。

 当たったら一溜りもない毒だ、絶対避けなければならない。

 そして着地した先には先ほど吐き出された毒があった。

 私はその毒に手を伸ばして、触れない程度に近くまで手を近づける。

《コピーッッ!》

 ――――――――――――――――――――――
 《ポイズン》がコピーされました。
 
 あなたが使用できるスキル一覧
 ・《コピー》
 ・《ポイズン》NEW!
 ――――――――――――――――――――――
 
 そう言った瞬間、体に衝撃が走った。
 
「これなら......!!」

 私は手をもう一度巨大な蛇に向けて言い放つ!
 
「《ポイズン》!」
 
 すると毒の液体が発生し、それを巨大な蛇が正面から被ると、蛇は苦しみだし、更にはしぼんだ。

 恐らく毒が回ってしまったんだろう。
 
 そうして巨大な蛇が倒れる。人生で初めて魔物を倒した経験だった。そう思っていると少女が私に近づいてくる。
 
「す、凄い! あの魔物を倒してしまうなんて!」
「今の魔物凄かったの?」
「凄いよ! あれはおそらくC級の魔物ね!」
 
 初めての実践だったが何とかなってよかった。

 そう実感していると少女が口を開く。
 
「あ……あなたは一体何者?」
 
 と少女は興奮していたようだがすぐに落ち着きを取り戻す。

「私はラゼル、家から追放されて全てを失った者」
 
「色々と訳ありね......私の名前はリズ。王都の冒険者をしてるわ」
 
 王都の冒険者か......どんなことしているんだろう?

「突然なんだけどラゼル、さっきの魔法ってあの蛇と同じ攻撃魔法じゃなかった?」
 
 そういえばリズの言う通り、私はさっき蛇と同じ能力が使えていた。

 あの時は必死で記憶が飛んでいるが、おそらく蛇の能力をコピーする事が出来たんだろう。

「私の能力は《コピー》なの。ただ全然使いこなせてなくてどうやってコピーするかもあまり分かってない」
 
「え、凄い能力じゃないそれ?」

 はたして凄い能力なのかな......今回はたまたまスキルをコピーできたけど発動条件が分からない以上、良いスキルとは言えない。

 でもたまに魔法を得られると思えば良いのかな?

 とか思っているとリズが話しかけてくる。
 
「ラゼルの事情はよくわかったけど、これからどうするつもりなの?」
 
 そうだ。追放されて住む場所もない。

 しかもこの魔物の死体をどうにかしない限り、血の匂いで他の魔物が寄ってくる。
 
 どうしようか……。そんな私の姿を見て心配になったのかリズが話しかけてくる。
 
「良かったら私が活動してる王都に来ない?お礼もしたいし」
 
「いいの?」
 
「どうせ私もすぐに王都に向かう予定だったから。ここで出会ったのも何かの縁だし」
 
 そう言われた私はお世話になることにした。

 本当にありがたい……この数時間でここまで良くなるとは人生わかんないものだなぁと思う。

 こうして私はリズと行動していく事になり、これは私自身の二度目の冒険の話の始まりだった。
 
「馬車代は私が払うから安心して。」
 
 そう言うとリズの表情は明るくなり。
 
「では王都まで出発しましょ!」
 
 私は頷きリズと一緒に王都へ向かうのであった。