――2040年9月、夢希望高校。
放課後、教室の窓からグラウンドを見ると、部活動をしている生徒達が汗を流しているのが見えた。
「青春っていいわねぇ……」
そこへ生徒会を終えた生徒が教室へと入って来る。
「立花先生!」
「あら?千家さん。生徒会は終わったの?」
「はい!先生は何をしてるんですか?」
「ん?部活動をしてる若い子を見てるとこっちまで元気になるのよねぇ。て、ちょっとおばさんくさいわね」
「そんな事ないですよ!」
「そう言えば千家さんの小説良かったわよ、先生もなんだかまた書きたくなっちゃったわ」
「そんな!恥ずかしいです!私は先生が書いた『私の彼岸花』に感動して小説書くようになったんですよ!」
「ふふ、ありがとう。あれは若気の至りよ」
「そんな事ないです!また書いて下さいね!」
「千草ちゃん!帰るよ!あれ、立花先生」
「あらあら、猿渡さんまで――」
私、立花美央が小説を書くのを辞めて随分経つ。『私の彼岸花』は春子叔母さんの経験談を元に書き上げた小説だった。それからは鳴かず飛ばずの結果で、結局書くのを辞めてしまった。
今では大学の頃に取得した教員免許が役に立ち、高校の教師をしている。
「あれから16年も経つのね……」
生徒達が帰ると、私はまた窓の外を見る。部活動をしている生徒達ではなく、グラウンドの隅に咲く青い花を……。
「今ではどこにでも咲くのね、青い彼岸花……」
それは昔、幻と言われた青い彼岸花。今では全国に分布しているとか、いないとか……。
あなたも探してみませんか?
あなただけの彼岸花――
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この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
引用/アルファポリス 著・雑魚ぴぃ、100年の恋