「そうなんだ。でも残念だけど、沙羅と会えるのはこれが最初で最後だ」

「え?」

「僕と何度も会っていたら、沙羅が前に進めなくなるだろ?」

私は首を振った。

「私、拓也に会えて、嬉しかった。拓也のこと忘れたくない!」

拓也は、私の肩を掴んで言った。

「沙羅、君には未来がある。君はこれからも生きて、幸せになるんだ」

私の目から涙がこぼれた。

「でも…」

拓也は、困ったように笑って私にペンダントを渡した。

「実は事故にあった日、これを買いに行ってたんだ」

それは、拓也と買い物に行った時に私がほしいと言っていたものだった。

「沙羅、もうすぐ誕生日だったから、プレゼントに渡したかったんだ」

「拓也…ありがとう」

私はペンダントを握りしめた。

「これをあげるから、もう泣かないで」

そう言って、私の頭を撫でた。

「お別れだ、沙羅」

拓也の体が薄くなっていく。

「拓也!待って!」

「大丈夫。俺は、いつでも見守っているから」

私はベットの上で目を覚ました。

手には拓也からもらったペンダントが握られていた。

「拓也…ありがとう。私、前に進めるように頑張るから、見守っててね」

ペンダントがキラリと光った。