真澄はラップの掛かった皿をレンジにかけた。その間に僕は冷蔵庫からビールを二つ取り出してケースの上に並べた。それから、テレビとノートパソコンの電源を入れて座布団の上に腰を下ろした。
「はい、まずは焼きそばからね」
 真澄は温め直したやきそばの皿を卓袱台代わりのケースの上に置いて僕の隣に腰を下ろした。
「じゃあ、ヴァーチャル花火大会を始めようか」
「何が始まるのか楽しみね」
 真澄はどこか楽しげだった。
 僕は立ち上がると部屋の明かりを消した。ノートパソコンのデスクトップを映したテレビの画面がやけに明るく見えた。再び腰を下ろしてノートパソコンを操作してネットにつないだ。動画サイトで検索すると使える映像はいくらでもありそうだった。
「じゃあ、とりあえず両国からいってみようか」
 僕は両国の花火大会の映像を選び再生ボタンを押した。すぐさまテレビ上では光と音のショーが始まった。真澄は夢見心地で画面に見入っていた。
「じゃあ、乾杯しようか」
 僕がビールの缶を開けると真澄が自分のグラスを差し出した。僕はそこにビールを注いだ。続いて自分のグラスにもビールを注ぐとグラスを二人の間に掲げた。