小さいころから空を見上げるのが好きだった。
絵具でぼかしたような淡い青のグラデーションと、それを際立たせるような白い雲をいつまでも見ていられた。空の向こうに行ってみたかった。
本気で触れられるような気がして、何度も手を伸ばしたけど届かなかった。
いつか今よりもっと大きくなったら届くんだろうって、本気で信じていた。
十年経った今でも、手は届かない。