皆良いペースで読めているようだね。おや、初受講の君はページをめくる手が止まっているがどこか分からないところがあるのかね?ふむ、体格差の意味が分からない?なるほど。たしかに日常生活ではあまり気にしないポイントだ。いい質問だね。

ピピ、ピピ、ピピ。

よし時間だ。801本を閉じてくれたまえ。内容は把握できただろうか。さっそくだが彼からいい質問が出た。体格差がこの話にどう影響するのか、と。

読んでもらった通り、愛され主人公(を目指す)相模恭介は身長173cm、中肉中背、勉強スポーツは中の中、趣味はSNSのアバター作成という身近にいそうなキャラクターである。──なに?自分そっくりだった?そうか。そうやって自己投影しながら読んでみるのも共感を得られていいかもしれないな──対してタチ、いわゆる攻めには身長188cm、身体は鍛えられていて顔面偏差値は高く、勉強や仕事のできるキャラクターで表現されている登場人物が多かったと思う。黄金差15cmと言われるこの身長差や体型の差は「体格差」と呼ばれるBLの醍醐味のひとつなのだ。

なおBL界では、体格についていろいろなパターンが展開されている。受けの方が体格が良い、同じくらいの身長体型、どちらもマッチョなどがそうだ。こちらについては現在私のゼミで3回生が実証研究中である。

今回のテーマは「愛され」だ。BLのみならず恋愛すべてにおいて見た目がウェイトを占めるというのは、多かれ少なかれ皆も経験があるのではないだろうか。ああ、いや私は見た目がデメリットであったことがないので、経験談が乏しくて申し訳ないのだが。

今回の教材は「愛され」を分かりやすく可視化するために、受けと攻めとの間に体格差のある801本をセレクトしたつもりだ。

この体格差を生かしつつ、相模恭介がどれだけ攻めに愛されるキャラクターに近付けるかを検証するのが今回のディスカッションポイントである。

皆、移動は完了できただろうか。各グループの進行及び書記は、2回生以上の生徒が務めてくれ。

ではディスカッション開始。