「僕たちは元から仲が良いけれど、付き合ったら何か変わるのかな?」
「どうなんだろうな?」
「一緒にいると、もっと楽しくなるのかな?」
「あとは他の人と叶人が恋人になっているのを想像しなくてすむから、その辺りの辛さはなくなる、とかかな?」
「陽向くん、そんなこと考えていたんだ? 僕は陽向くん以外の人と恋人になるなんて考えられないよ。あと、恋人になったら、僕たちずっと一緒にいられるよね?」
「そうだな」
「おじいちゃんになっても、ずっと――」

 幸せだなぁ、ずっと一緒にいられる想像をするだけで、本当に幸せだな――。おじいちゃんになっても陽向くんと一緒にチクチク羊毛フェルト制作作業をしたいな。今日みたいな、ぬい活デートも、たくさんしたいなぁ。

 陽向くんと手を繋ぎながら歩いていると、陽向くんのスマホの音がなった。陽向くんは画面を確認する。

「叶人、これ見て?」

 見せてくれた画面の中には、花畑を背景に手を繋ぎながら笑いあっている僕たちが写真に写っていた。

「誰が撮ってくれたの?」
「夏樹だわ」

 さっき会った、陽向くんのクラスメイトの人か。いい写真だな。

「あの人、実は悪くない人なのかな……」
「いい人だよ。なんで悪い人だって思った?」
「だって、学校で、僕たちふたりの世界に入ってこようとしてきたから」
「誰かが俺らふたりの世界に入ってくるの、ちょっと慣れようか? でも、叶人がどうしても嫌なら、慣れなくてもいいけど……」
「僕、ちょっとだけ、頑張ってみる!」

 羊毛フェルトの僕たちを見るたびに、こんなふうに仲良く手を繋ぎたいなぁって思っていた。夢が叶って、陽向くんと恋人にもなれて、幸せ――。