掘りごたつに足を入れた時、反対側の先輩の足に当たってしまいドキドキMAX。
心臓が口から出そうって、こういう状況なのだろう。
「あ……すみません」
「こちらこそ、ごめんね」
ぎこちない会話に、俯いたまま顔が上げられない。
すると
「陵介さん、翔君。私の可愛い一人息子の葵です」
母さんの声が聞こえて、慌てて顔を上げて母さんの再婚相手の方に視線を向けた。
(あ……先輩に似てる……)
きっと秋月先輩が年を取ったら、こんな感じになるのだろうという顔をしていたその人は、ロマンスグレイのイケオジという感じだった。
多分、若い頃は遊んだんじゃないかな?
全身から醸し出す空気が、そんな事を感じさせる。
(俺はいかにも硬派って感じの、秋月先輩の方が好きだな)
そんな事を考えながら、母さんの再婚相手で秋月先輩のお父さんにお辞儀をした。
「初めまして、神崎葵と言います」
俺の事をニコニコした顔で見つめる秋月先輩のお父さんは
「初めまして。葵君のお母さんとお付き合いさせて頂いている、秋月陵介と言います。これから、よろしくね」
そう言うと、秋月先輩に視線を向けた。
「こんばんは、葵君。びっくりさせてごめんね」
先輩の言葉に頷くと
「え? 二人は知り合いなの?」
母さんが驚いた顔をして俺達の顔を見た。
「秋月先輩は、学校の先輩で蒼ちゃんのこ……友達だよ」
危うく「恋人」と言いそうになり、友達と言い直すと
「蒼ちゃんの『こ』?」
母さんが小首を傾げながら、こんな時にツッコミを入れて来た。
「葵様、緊張し過ぎて噛みっ放しですね」
田中さんがクスクスと笑いながら、俺に救いの手を差し伸べてくれた。
(田中さん、神~!)
そう思っていると
「え?あおちゃん、そんなに緊張していたの?」
と母さんが驚くと
「えぇ。先ほど、ご挨拶いただいた時に、『神崎葵でし』って言っていましたよ」
田中さんは言いながら、思い出し笑いを始めた。
(前言撤回!!)
プクっと頬を膨らませていると
「あおちゃん、子供じゃないんだからそんな顔しないの!」
母さんに頬を突かれて前を向くと、先輩が顔を反らして肩を揺らしている。
(くっそ~! 先輩にまで笑われてしまったじゃないか!)
「翔さんが言っていた通り、小動物系の方ですね」
田中さんが笑いながら言った言葉に、俺が先輩の顔を見ると
「あ! ごめん。変な意味じゃないんだ。蒼佑がいつも「あおちゃん可愛い、あおちゃん可愛い」って話していて、子リスみたいなんだって話していたから……」
慌てて弁解している。
「そう、蒼ちゃんがね……。あ、ねぇ。蒼ちゃんと翔君は、そんなに仲良しなの?」
先輩の言葉を聞いて母さんが質問すると、秋月先輩は笑顔で
「はい。毎週金曜日は、蒼佑の家に泊まりに行っているんですよ」
と答えていた。
その笑顔と言葉に、俺の胸がチクリと痛んだ。
……そう。俺の幼馴染みの彰三の兄で、俺の初恋の相手である蒼ちゃん事、赤地蒼佑と秋月先輩は、学校で公認のカップルなのだ。
心臓が口から出そうって、こういう状況なのだろう。
「あ……すみません」
「こちらこそ、ごめんね」
ぎこちない会話に、俯いたまま顔が上げられない。
すると
「陵介さん、翔君。私の可愛い一人息子の葵です」
母さんの声が聞こえて、慌てて顔を上げて母さんの再婚相手の方に視線を向けた。
(あ……先輩に似てる……)
きっと秋月先輩が年を取ったら、こんな感じになるのだろうという顔をしていたその人は、ロマンスグレイのイケオジという感じだった。
多分、若い頃は遊んだんじゃないかな?
全身から醸し出す空気が、そんな事を感じさせる。
(俺はいかにも硬派って感じの、秋月先輩の方が好きだな)
そんな事を考えながら、母さんの再婚相手で秋月先輩のお父さんにお辞儀をした。
「初めまして、神崎葵と言います」
俺の事をニコニコした顔で見つめる秋月先輩のお父さんは
「初めまして。葵君のお母さんとお付き合いさせて頂いている、秋月陵介と言います。これから、よろしくね」
そう言うと、秋月先輩に視線を向けた。
「こんばんは、葵君。びっくりさせてごめんね」
先輩の言葉に頷くと
「え? 二人は知り合いなの?」
母さんが驚いた顔をして俺達の顔を見た。
「秋月先輩は、学校の先輩で蒼ちゃんのこ……友達だよ」
危うく「恋人」と言いそうになり、友達と言い直すと
「蒼ちゃんの『こ』?」
母さんが小首を傾げながら、こんな時にツッコミを入れて来た。
「葵様、緊張し過ぎて噛みっ放しですね」
田中さんがクスクスと笑いながら、俺に救いの手を差し伸べてくれた。
(田中さん、神~!)
そう思っていると
「え?あおちゃん、そんなに緊張していたの?」
と母さんが驚くと
「えぇ。先ほど、ご挨拶いただいた時に、『神崎葵でし』って言っていましたよ」
田中さんは言いながら、思い出し笑いを始めた。
(前言撤回!!)
プクっと頬を膨らませていると
「あおちゃん、子供じゃないんだからそんな顔しないの!」
母さんに頬を突かれて前を向くと、先輩が顔を反らして肩を揺らしている。
(くっそ~! 先輩にまで笑われてしまったじゃないか!)
「翔さんが言っていた通り、小動物系の方ですね」
田中さんが笑いながら言った言葉に、俺が先輩の顔を見ると
「あ! ごめん。変な意味じゃないんだ。蒼佑がいつも「あおちゃん可愛い、あおちゃん可愛い」って話していて、子リスみたいなんだって話していたから……」
慌てて弁解している。
「そう、蒼ちゃんがね……。あ、ねぇ。蒼ちゃんと翔君は、そんなに仲良しなの?」
先輩の言葉を聞いて母さんが質問すると、秋月先輩は笑顔で
「はい。毎週金曜日は、蒼佑の家に泊まりに行っているんですよ」
と答えていた。
その笑顔と言葉に、俺の胸がチクリと痛んだ。
……そう。俺の幼馴染みの彰三の兄で、俺の初恋の相手である蒼ちゃん事、赤地蒼佑と秋月先輩は、学校で公認のカップルなのだ。