祐希からの思わぬカミングアウトに、ポカンと口を開けたまま固まってしまった。
「……へ…?」
「千早は鈍感だから全く気付いてなかったと思うけど!
千早にとってはただのオタク友達かもしれないけど、ぼくだって最初はオタクじゃなかったよ。
千早と話すために履修したアニメもある」
「……へ…ぇ…?」
じゃあ
『千早と話すためにわざと合わせてたのかもしれねぇじゃん』
瑠夏の言う通りだったってこと?
「けど全然、無理してたわけじゃないよ!
アニメ面白かったし、
千早がいなくてもすっかりオタクだし」
「……ごめん…」
「なんで謝るの?
オタクなのを恥じてるの?」
「違くて…!
祐希の気持ちに気付かなかったこと…」
何も知らないで
祐希には『なんでも話せる友達』って感情しかなかった。
祐希は祐希なりに、努力してくれてたのに
おれ、なにも気付かなかった。
「……いいんだ。
ぼく今、気付かれなくてよかったって思ってる」
「……なんで?」
「だってBLっていいじゃん…興奮するね」
ハァハァと鼻息荒くなってる。
……相談相手、間違えたか?
いや、でも、祐希は否定しないからよかったのかも。
『男同士なんて気持ち悪い』って言われないだけ、救われた気持ちになる。
「千早がぼくのこと眼中になかったのも、
男の子好きになっちゃったならしょうがないかって思えるし、
おかげで諦めがついたから、ぼくはちゃんと彼氏に向き合うことができるよ」
祐希が『ありがとね』と笑ってくれる。
それを言うのは、おれの方なのに。
「祐希……ありがとう。
祐希が応援してくれるなら、おれ、頑張ろうかな…」
きっと誰も、おれの気持ちを応援してくれないと思ってた。
でも…祐希が前向きにしてくれたから。
今は、この気持ちを消さずに、大切にしたいと思った。