「はぁっ、はぁ…っ」
どうしたらこの気持ちが消えてくれるのか
わからなくて、ただがむしゃらに走った。
運動は苦手ですぐに息が苦しくなって
通りすがりに見つけた自販機で水を買ったら。
「……千早?」
「…祐、希」
犬の散歩中の祐希と遭遇した。
「どしたの、そんな息切らして…」
「……ゆぅ〜きぃ〜…」
「えっ!?なになに!?」
このモヤモヤを、祐希になら話せる。
唯一心を許してた友達だったから。
話したらスッキリすると思って、祐希と一緒に近くの公園のベンチに座った。
「おれ、好きな人がいて」
「あ……そういう相談…」
「絶対叶うわけなくて。
告白もできないし、友達のままでいるのも気持ち的に無理で…」
「なんで叶わないって言うの?
千早は…カッコいいよ」
「カッコいいじゃダメなんだよ。
相手……男だし」
「えぇっ!!?!?」
おれの相談にあんまり興味を示してなかった感じの祐希が、
相手が男だって言った瞬間、目の色が変わっておれにぐいっと顔を寄せてきた。
「そうなの千早!?
ボーイズラブなの!?」
指でハートを作ってキラキラした目でおれを見る。
……あ、そうだ。祐希ってBL作品好きだったわ。
「おれだって戸惑ってるよ〜…」
「あ、ごめん…悩んでるのに茶化したみたいで…」
「べつにいいけど…」
はぁ…と深いため息をついたら
祐希が思いきったように大きく息を吸った。
「あのさ、千早!
ぼく、中学の時から千早のことが好きだった!!」