───結局。

二階堂のプレイに見入ってしまって、おれはゲームもせずに座っていた。

ゲームを終えた二階堂はイヤホンを外すと、


「今日は無理。
やめだやめ」


カバンを肩に掛け、もう帰ろうとしていた。


「もう帰るの?」

「ダメな日は何回やってもダメなんだよな、俺って。
だからまた明日」

「そうなんだ…」

「碓氷は?やってかねーの?」


おれより身長の高い二階堂がおれを見下ろしながら言う。

いやー…あなたのプレイ見た後で出来るかいな。


「おれは…下手だからいい」

「あー?でもやりに来たんだろ?
下手とかやらない理由になってなくね?」


いやだから、お前の見たから戦意喪失したんだよ!わかれよ!!

なんて、出来るやつにはそんな気持ち、わかんねーよな。


「み、見られんの無理なんだよ。
二階堂がどっか行ったら、やる、かも…」

「お前俺の見てたじゃん。不公平」


ぶーぶーと不服そうに文句言って突っかかってくる二階堂。

なんで折れねーんだよ。どっか行けよ。