おれの言葉に、佐野も瀬戸も目を丸くした。
「え、なんで!?
せっかくオレらも友達になれたのに!」
「佐野や瀬戸のことは嫌いじゃないよ。
でも……瑠夏とは距離をおくって決めたんだ」
佐野や瀬戸には〝友達〟の顔ができる。
でも、瑠夏にはできないから。
もう一度〝友達〟の顔ができるようになるまで…『好き』って気持ちを忘れられるまで
瑠夏とは距離をおいたほうがいい。
「碓氷……、
おまえ、瑠夏のことそんなに嫌いだったのか!?」
「いや、そういうわけじゃ…」
「可哀想ー瑠夏ぁー!!
せっかく自分が一番最初に碓氷と仲良くなったのになぁー!」
おーいおいおいと言ってわざとらしく泣いてるフリしてる瀬戸。
……だからそういうわけじゃないんだけど…
でも本当は瑠夏のことが好きなんて2人にも言えないし、そういうことにしておいたほうが都合がいいかもしれない。そう思って否定はしないでおいた。
たぶん気を遣って、佐野と瀬戸もおれに絡むの遠慮してくれそうだし。
……昔の、瑠夏と友達になる前に戻るだけだ。
大丈夫。すぐ慣れるはず。
「……碓氷、本当に瑠夏のこと嫌いなの?」
「……うん」
「そっか。
でもオレは、挨拶くらいはしていい?」
「うん、それはもちろん」
佐野や瀬戸とギクシャクしたいわけじゃない。
これはおれと瑠夏の問題だから。2人に嫌な思いはさせたくない。
「じゃあ明日からも、オレはよろしくってことで」
「オレもな!」
2人にはそう言われたけど
瑠夏を避けてれば、2人ともあんまり関わりがなくなっていくんじゃないかとうっすら思いながら
「うん」
2人には良い顔をして、嘘をついてしまった。
……やっぱりおれ、友達つくるのとか向いてないんだろうな。