それが恋になるまで



でもおれが女だったらきっと、瑠夏と友達にはなれてなかったと思う。

どっちにしても、瑠夏とどうにかなれる道はないわけだ。


「もし碓氷が女だったら、
瑠夏のこと好きになってそうだな」

「……は!?!?」

「あー、わかる!
瑠夏、異様に碓氷に優しいもんな。
碓氷が女だったら、『私のこと特別に思ってくれてるのかも…?』って気になっちゃうんじゃね?」

「そ、そんなわけねーよ!」


女だったらって例えなだけで、おれの気持ちがバレてるわけではなさそう。

だいたい、瑠夏って女子にモテるし…おれが女だったら特別扱いされたってモヤモヤしちゃいそう。

現に昨日来てた女子っておれより瑠夏と仲良いだろうし。


「まぁ、そろそろ瑠夏もフラフラしてる場合じゃねーと思うけどなぁ」

「え?」

「ほら、言ったじゃん?歩梨が瑠夏狙いだって。
そろそろなんか、告る計画練ってるらしい」

「……」


え、だって、あれは…瀬戸が勝手に、『瑠夏狙い』って思ってるだけだと…

じゃあ……歩梨さんは本当に、瑠夏に告ろうとしてる…?


「そ…なんだ…」

「そうなんだーじゃねーよー。
もし歩梨が告ったら、瑠夏がどんな返事しても気まずくなるじゃん!」

「そうだな。フッたらグループがギスギスするし、付き合っても気ぃ遣わないといけなくなるし」

「それが面倒なんだよな〜。
オレはこのままでいたいのになー」


瀬戸は頭の後ろで手を組んで、『碓氷もそう思わねー?』と同意を求めてきた。

……おれは…


「おれはいつも一緒じゃないし、困らない。
……それに…」

「それに?」

「………瑠夏とは、距離をおきたいと思ってる、から」