ぎゅっと下唇を噛んで、布団を握りしめた。

なんだよ…なんだよ、なんだよ…!

なんで瑠夏が怒ってんだよ。

されたのはおれなのに。まるで『おれがそこにいるのが悪い』みたいな言い方。

ふざけんなよ。


「……で、フォローしといてくれたのかよ」

「おう」

「……千早、なんか言ってた?」

「いや。
でも、瑠夏と顔合わせるの気まずそうな表情してたな」


空気読めねーくせに、それはわかるのかよ。

『忘れて』

瑠夏はそう言ったのに、おれが意識してるってバレたら

……絶対キモいって思われる。


「……そっか。
それが答えだよな…」

「え、なに?」

「やっぱり俺、間違えたんだな…」


はぁ、と重いため息を吐く声がしたら、

足音が1つ、リビングに戻ってきた。

瑠夏?それとも佐野?

どっちの足音かわからないけど

目を閉じたままだったから睡魔が襲ってきて、いつの間にか眠ってしまっていた。