「そ…か。うん、そうだよな。
深い意味とかないよな…」

「うん」

「だ…よな…」


瑠夏は全く、気にしてない。

寝ぼけてただけ。別の誰かを見てただけ。

瑠夏はなかったことにして、もうとっくに忘れてると思う。

その方が好都合。だって、意味があった方が気まずい。

〝友達〟は、普通こんなことしないから。


なのに、どうして。

どうして、こんなにも


───胸が苦しいんだ。


「気まずいって態度してたら瑠夏も気にすると思うし、
なんとも思ってないって顔してればいいんじゃない?」

「……」


なんともない顔、なんて

おれには、できない。


「……忘れろって、簡単に言うなよ…」

「?
なんか言った?」

「……なんでもない」


佐野に相談するだけ無駄だった。

というか、余計にモヤモヤが増した。

あーー…しかもあんま眠れてないのもあって、頭痛くなってきた。


「……おれ二度寝するわ」

「寝すぎるなよ」


キッチンを出てまたリビングに戻る。

瑠夏の姿はまだなくて、瀬戸もまだいびきかいて寝ていた。

……はぁ。コイツの寝相悪いのも眠れない原因なんだけどな。

また攻撃されるのもうざいから、瀬戸から少し布団を離して横になった。