瑠夏がリモコンで部屋の電気を切って、もうお喋りができる空気でもない。
だからか、瀬戸の方から寝息が聞こえてきたのは随分早かった。
……佐野も瀬戸も、もう寝たのか。
瑠夏も……たぶんすぐ寝たいよな。
話しかけるのも、と思って、仰向けになって天井を見ていた。
『歩梨とか絶対おまえ狙いじゃん』
瀬戸の言葉を思い出して、ため息と共に目を瞑った。
……そりゃあそうだよな。いつも一緒にいるし、下心ある女子だっているよな。下心があるから一緒にいるのかもしれないし。
やっぱりモテるよな、瑠夏って。
今はあんまり好意的じゃなくても、松雪さんだっていつかは瑠夏のこと……。
それは瑠夏と松雪さんの勝手なのに、何故かおれは、それは嫌で……
モヤモヤして、そのモヤモヤを消そうと早く寝ようとした。……んだけど。
───ペチン!
「……いっ」
誰かの手がおれの顔面をビンタしてきて寝付けなかった。
……誰だよ、寝相悪いの!
なんとなく誰かは予想出来たが、確認したらやっぱり瀬戸の手だった。
コイツ……ビンタ仕返してやろうか。
なんて、思っても行動には出来なくて。その手を退かして今度こそ寝ようと目を閉じた。
次はなんか当たっても気にせず眠ることに集中しよう…。
そう決めてから目を閉じて、そろそろ睡魔がやってきそうだと思った時。
───ひた…
「………」
額に何かが触れる。
ぶつかった、というよりは、しっかり触られてるような。
………ゆ、幽霊、とかじゃない…よな…?;
何か当たっても気にせず…って思ってたのに、ちょっとさすがに気になって。
薄目で見ようとちょっとだけ瞼を開いた時。
それと同時に、唇に柔らかいものがあたった。