瑠夏を取られたくないんだと思う。
だって彼女とかできたら
きっと祐希みたいに、恋人優先でおれと遊んでくれなくなる。
そんなのおれ、嫌だよ。
「……正直俺も、ちょっと戸惑ってる」
「え?」
「好きって言っていいのかわかんないっていうか…」
「まだ、ハッキリ恋とは、わからないってこと…?」
「……まぁ、そんなとこ」
リビングのソファーにごろんと寝転んで、瑠夏はおれから顔を逸らした。
…そっか。まだ、恋って確定したわけじゃないのか。
胸に手を当てて、ふぅ、と一つ息を吐いた。
……あれ、なんで……
なんでおれ、ホッとしてるんだろう。
「ただいまー!」
「げっ。もう帰ってきたか」
おれの方を見ないまま、瑠夏は玄関の方へ歩いていく。
3つの足音がリビングにやって来ると、
佐野がローテーブルにドサッと持っていたビニールを置いた。
「ピザ、たぶん瑠夏の好きなもんばっかりだから、
碓氷嫌いなのばっかりだったら、ご飯買いに一緒にコンビニでも行ってやるけど」
「ちなみに何?」
「マヨじゃがとシーフードとマルゲリータ」
「全部好きだから大丈夫」
ならよかったと言いながら、
瀬戸がひぃひぃ言いながら持ってきてたペットボトルのジュースたちを1つずつテーブルに置いた。
「ついでにジュースも買ってきたから好きなの飲んで。
あと氷もあるからぬるいの嫌だったら好きに使って。
瑠夏ーコップ出してー」
帰ってきて早々気遣ってくれる佐野。
呼ばれた瑠夏は『はいはい』と言いながらキッチンの方へ向かった。
「ジュース重かった〜…人使い荒い〜。
オレら追い出してまで瑠夏と碓氷は2人でなにしてたんだか」
「えっ」
瀬戸がじと、とおれを見てくる。
……べつにそんな、普通に話してただけで何もしてないんだけど。