「……おれ、配信リアルタイムで見てた」

「……じゃあ、碓氷には結構前からバレてたってこと?」


二階堂の問に、うんと小さく頷いた。

最初は似てるなって疑ってただけたけど、

本人だったと思うと、知人が有名になったみたいで、なんだか誇らしい。


「で、碓氷は俺に何してほしいわけ?」

「……ん?」

「そんな動画まで見て、俺の弱み握ったつもりなんだろ?
望みはなんだよ」


おれの方を見ずに次の曲を選びながら、二階堂は面倒くさそうに呟いた。


……『弱み』、なんて


「お、おれ、そんなふうに思ってねーよ!」


本当に。おれは。

陽の人の二階堂と、一生交わることはないと思ってたけど

二階堂がおれと同じアニメ好きなのかもって、ちょっと嬉しかった。

……結局、二階堂はアニメが好きなわけではなかったんだが。

だから弱みなんて、望みなんてそんなの、考えてねーよ。