それが恋になるまで






休憩を終えてまた勉強に向かってから数時間。


「あ、もうこんな時間」


わからないところを佐野に教えてもらいながら進めた勉強は驚くほど捗って。

気づけばもう18時をまわろうとしていた。


「じゃああたしたちそろそろ帰るね〜」


女子3人は勉強道具をしまって帰る支度をする。


「みんな夕飯何食べるの?」

「ピザ頼んだ」


女子の質問に瑠夏がすぐ答えた。

えっ、いつの間に!?

ピザ好きだからいいけどさ…なにも相談されてなかったんですけど。


「で、ピザ店頭受け取りにしたから、
藍と瀬戸、女子送るついでに取ってきて」

「えーオレらが行くの?
瑠夏も一緒に行こうぜー」

「ぞろぞろ歩くの嫌だし、
家主が不在で誰かに留守番任せるのも悪いからな」

「おまえ〜。行きの時といい外出めんどいだけだろー」

「バレた?」


ははは、と笑って押し切ろうとしてる瑠夏。

佐野はもう反抗もせず、女子たちと玄関の方へ歩いていった。


「瀬戸も。頼むわ」

「わかったよ。
おまえホントワガママだなー」

「知ってる」


渋々、といった顔で、瀬戸もみんなについて行って。

『お邪魔しましたー』って声がした後、玄関のドアが閉まる音がした。


「……瑠夏、ワガママなんだ?」

「2人になって第一声がそれ?」


クス、と笑う瑠夏に、また胸の奥がきゅってした。


「アイツらいると本当にうるさい。
せっかく一緒にいるのに千早とあんまり喋れないし」

「勉強会なんだからそんなに喋る必要もないだろ」

「……喋ってたじゃん、藍と。
何の話してたかは知らんけど、楽しそうでしたよねー?」


ムスッとした表情でおれに詰め寄ってくる。

楽しそうって……瑠夏の話で盛り上がってたんだし。

そんな不機嫌そうな顔される意味がわからない。