それが恋になるまで



それから少し経って、そろそろ肩が痛くなってきたなーと思った時。


「あ〜パンクしそ〜。
頭が糖分ほしがってる〜」

「あっ…」


女子たちからそんな声が聞こえた。

『ケーキあるよ』って、言え、おれ。

バッと立ち上がって女子たちの方に行って。


「け、ケーキ、あるっ!!」


話したことがない女子相手に緊張してしまって、おれの行動と言動は、不自然極まりなかったと思う。


「……ケーキ?」

「千早が手土産にケーキくれたんだよ」

「まじ!?神ーっ!
ありがとう碓氷くん!
勉強は一旦休憩してみんなでケーキ食べよ!」


瑠夏はケーキで盛り上がってる女子に呆れながら立ち上がって。


「切り分けてくるから待っとけよ」


女子たちにそう言うと、1人でキッチンの方へ行ってしまった。


「……い、一応おれが買ってきたやつだし、手伝いに行こうかな」


待っとけよというセリフは、おれにも向けてたのかはわからないけど、

黙って待ってるわけにもいかないと思って瑠夏を追いかけた。

べ、べつに女子の中に取り残されたのが気まずいとかじゃないからな…!

心の中で自分に言い訳しつつ、キッチンに立つ瑠夏に声をかけた。


「る、瑠夏、手伝う」

「なんだよ、千早も待ってればよかったのに」

「ケーキ買ってきたのはおれだし、
切り分けとか面倒事押し付けるのは申し訳ないから」


女子たちのとこにいるのが気まずいのもそうだけど、全部任せきりが申し訳ないと思ってるのも本当。

手伝うって言ったら、『皿出すから切り分けて』って頼まれた。


「……7人だから、7等分…?」


ロールケーキ7等分て、むずっ。

最悪おれ抜きで6等分でもいいかと思ったけど…6等分も自信ないや;

とりあえず8等分にして…あ、そうだ。