それが恋になるまで



丁寧に教えてくれる佐野と一緒に教科書を覗き込んでいると。


「千早どこわかんねーの?」


女子と話していたはずの瑠夏がいつの間にかおれの隣に座っていた。


「あれ、瑠夏、女子たちは…?」

「わかるとこは自力でやらせてる」

「そ、そうなんだ」

「で、どこわかんねーの?」


ぐいぐいと詰め寄ってくる瑠夏。

な、なんでこんな強引なんだ??

おれ今佐野に教わってんのに…!


「だ、大丈夫!
だいたいわかってるから…!」


佐野に教わってるし、

瑠夏に『こんなのもわかんねーのか』って思われるの嫌だし!

瑠夏の仕事を増やすのも迷惑かと思って断ったら


「………あっそぉ」


不貞腐れたような声を出した瑠夏は、女子たちの方へ戻ってしまった。

……な、なにか怒らせるようなこと言った?

面倒事を減らしたはずなのに。何故…?


「……碓氷」

「はいっ」

「瑠夏は、たぶん碓氷が頭良くなるのが気に入らないんだと思う」

「……へ?」


え……そうなの?


「碓氷、実は女子に興味持たれてて
意外にモテてるから、瑠夏はライバル視してる」

「……」

「だから、自分より上に行ってほしくないんだよ」


………。


そんな風に思ってたのか……!!!!