「つーか千早、その大荷物持って集合場所行くの疲れるだろ?
俺の家こっちの方だし、行ってまた戻ってくるの面倒だし、
このまま俺ん家行こうぜ」
「えっでもみんなは…」
「藍が俺ん家わかるから、
藍に連絡して、連れてきてもらえばいい」
佐野は瑠夏の家知ってんだ…。
他のグループメンバーより佐野が頭一つ抜けて瑠夏と仲良いんだな。
おれにとっては瑠夏が一番の友達だけど、瑠夏にとっては佐野が一番なんだろうな。
それは……うん、なんかちょっと、悔しいかも。
「荷物持とうか?」
「いや、大丈夫」
おれの荷物だし、おれも男だし、甘えない。
「じゃあケーキだけ持たせて」
「べつにいい…」
おれが断るより先に、瑠夏はケーキの入った紙袋をおれの手から奪った。
こういうとこは強引だな。
……でもこういうの、女だったらときめくんだろうな。
おれでもちょっとときめいた。今。
気遣い屋で、たまに強引で。でもそれは迷惑じゃなくて助けてくれる。
モテるわけだよ。