見覚えのある背中…。


瑠夏と店員さんの会話が聞こえてたのか、そのお客さんがこっちに振り返った。

……あ。やっぱり。


「……祐希?」

「千早!」


おれの声に、ぱあっと目を輝かせて返事をしたそのお客さんは

中学の時の一番の友達だった、祐希。


「久しぶり!」

「うん」


祐希に近付こうとした時

後ろから肩を掴まれて足が止まった。


「誰?」


瑠夏がおれと祐希を見て首を傾げる。

そっか。中学の時の話なんて、瑠夏にしたことなかったな。


「えっと、中学の時の友達の祐希。
こっちは、同じ高校で友達になった瑠夏」


お互いに紹介すると、瑠夏は『よろしくっす』と口にし、

祐希は瑠夏の陽キャオーラにビビってるのか顔を俯かせた。


「祐希、元気だった?」

「うん。ぼくは元気だよ」

「………〝ぼく〟?」


瑠夏が不思議そうな顔をしてから、ずいっと祐希に顔を寄せた。


「……女の子だよね?」

「そ、うですけど…」

「ボクっ娘か」


『ごめん失礼なこと言った』と謝る瑠夏。

その言葉を聞いて、祐希はおそるおそる瑠夏に視線を向けて。

そしておれの方を見た。


「……千早、騙されてない?」

「え?」

「なんでこんな陽キャイケメンと仲良いの?
騙されてるんじゃないの」


ちょっと不機嫌そうな祐希の言葉に反応して、

瑠夏がおれを庇うように前に出た。


「騙してねーから。
ちゃんと友達」

「……」