「に…かいどう…?」
思わず声をかけたけど、二階堂もイヤホンをしてるせいで聞こえてないみたい。
気付いてないなら、と二階堂の手元を覗いてみると…
千手観音?って思うくらい、凄まじいスピードで手を動かしてる。
画面に表示されてるコンボ数が一瞬でぐんぐんあがっていく。
……や、やっぱり二階堂…だよな?
まじまじ隣の画面を見てたら、曲が終わったみたいで
二階堂がおれのほうを見ていた。
「あ、」
「……げ」
おれに気付くなり、
二階堂は苦虫を噛み潰したような顔をした。
「なんで碓氷がいるんだよ」
「お、おれはこれ、やりに来ただけで…」
「なんでわざわざ学校から遠いとこに?
あっちのゲーセンでやれよ」
「そ、それはこっちのセリフだ!」
なんでよりにもよって、隣に二階堂がいるところでやらなきゃならないんだ!
「いや、俺このゲーセン常連だし。
店長とも仲いい」
……常連?
放課後も勉強ばっかりしてるはずなのに?