遠足が終わって数週間が経った頃。


「千早、今日行く?」


週一くらいのペースで、放課後に瑠夏とこっそりゲーセンに行くのを続けていたのだが…。


「ごめん…しばらく行かない」

「なんで?」

「母さんが勉強しろってうるさくて…」


普段テストの点数が良くないおかげで、『ゲーセン行ってる暇あったら勉強しなさい!』とお叱りを受けていた。

教科書類をカバンにしまっていると

瑠夏が『あっ』と声をあげた。


「じゃあさー、

千早も勉強会来れば?」

「…………はい?」


わけわかんない顔してるおれに、瑠夏は説明してくれた。


「期末テスト近いから、
週末にいつものメンバーで勉強会しようと思ってて」

「はあ……」

「女子は途中で帰ってもらって、男子は泊まりでやるつもり。
それに千早も参加すれば?」

「いや、すれば?って…」


瑠夏のグループに混ざる勇気ないんですけど…。

しかも泊まりって。おれが混ざったらみんな嫌がるだろ…。空気読めって思われるに決まってる。


「泊まりとか大丈夫なら、一緒にやろうぜ」

「でも…」

「みんなも千早と仲良くなりたいと思ってるし」


それはおれを誘うための嘘だろ。テキトーなこと言いやがって。

でも、みんなでやるなら一人より捗るし…

成績上位の瑠夏と佐野がいればかなり頼りになるよなぁ…。

あまりにも魅力的だけど、そこに踏み込む勇気が出ない。