話したい、とは思ったけど、何を話そうか迷って
「瑠夏、菓子食べる?」
まだカバンに残ってたお菓子を瑠夏に差し出した。
「おーもらう」
チョコレートでコーティングされてるクッキーを渡したけど、瑠夏はそれを受け取ってくれた。
「瑠夏、チョコは好きなの?」
「ん?まぁ、普通に」
「甘いの苦手かと思ってた」
カレーも甘口苦手そうだったし、受け取ってもらえないかと思った。
「家で食うカレーが辛口だから、
カレーの見た目してたら辛いと思うじゃん。
それが予想と違ったから嫌だっただけ」
「……そうなんだ」
「チョコは最初から甘いのわかってるから食える」
むずかしい奴だな…。
ふーん…まぁでも、普通にチョコは好きなのか。
瑠夏の好みを一つ知れた。嬉しい。
「千早は?
チョコ好きなの?」
「うん」
「ポテチとかより?」
「そうだな、チョコ系の方が好きかも」
「おっけー」
……?
何が『おっけー』なんだ?
今後おれにお菓子くれる未来でもあるのか?
……まぁ、何気なく聞いただけかもしれないからツッコまないけど。
「千早って人前で寝れるタイプ?」
会話が途切れそうになると、瑠夏が話してくれる。
「いや、おれ寝れないんだよ。
だから、行きのバスで寝たの、自分でも信じられないくらい」
それだけ瑠夏には心許してんだよ、って意味を込めて言ったんだけど。
「えーまじ?激レアじゃん」
全然伝わらなかった。
瑠夏って、ちょっと鈍いよなー…。
こういうタイプは、ハッキリ言葉にしないとわかんないんだろうな。
おれは直接言う勇気ないから言えないけど…
……いつか伝わるかな。
伝わるといいな。