───……


「できたー!」


手際の良かった松雪さんと佐野のおかげで無事にカレーが出来上がり、

飯盒炊爨も上手くいって、班のみんなで卓を囲んだ。


「めっちゃうまそー」


みんなで一斉に『いただきます』と言ってから、各々カレーを口に含んだ。


「ん〜美味しい」

「うげぇ、あっま」


松雪さんが美味しいと呟き、瑠夏はそれを否定するようにそう言う。

……瑠夏、甘口苦手なんだ。

もし中辛だったとして、こっそりハチミツ入れてたら、瑠夏怒っただろうな…。

こういうとこでも正反対だなって思ってたら

松雪さんが瑠夏をチラッと見たあと、おれにニコッと笑った。


「碓氷くん、美味しいよねー」


甘口しか食べれないことを知ってる松雪さんは、瑠夏の言葉でおれが傷つかないように気を遣ってくれたのだろうか。嬉しそうに笑いながらそう言ってくれた。

やっぱり松雪さんって良い子だなって思って


「うん、すごく美味しい!」


ちゃんと美味しいってことが伝わるように、おれも笑顔でそう返した。


「(碓氷くん、笑っ…!)」

「じゃあ千早俺の分も食べる?
はい、あーん」

「は!!?!?」


なのに返ってきた言葉は松雪さんのものじゃなくて瑠夏のもので。

しかも隣に座ってたから、隣からスプーンをおれの口元に近づけてくるんですけど!?


なにおまえ!そんなことするやつだっけ!?
男相手になにやってんだ!?