おれの目的のゲームは音ゲーなんだけど、おれは音ゲーが苦手。

だから見られるのはもっと苦手。

いつも人の視線を気にしてひっそりやっている。


だけど、今日は1人、先客がいた。


一応筐体(きょうたい)は2つあるので、空いてた方にイヤホンを挿し込んだ。


(見られてるわけじゃないけど、
隣に人がいると思うと緊張するな…)


隣の人に見られてないよな?と気にしつつ、選曲していると。


「あー、何ここ。意味わかんな」


イヤホンで耳を塞ぐ直前だった。

カチャカチャとすごいスピードでボタンを叩く音と、隣の人のぼやきが聞こえる。

その声が、聞き覚えのある声で。


思わず横に目を向けると、一番に目に飛び込んできたのは


ミルクティー色の髪、だった。