「だ、大丈夫!
瑠夏は気分屋なだけだから…!」


瑠夏はたぶん……そう、『好きな子をいじめたい』タイプなんだ。

じゃなきゃ、松雪さんみたいな良い子に意地悪する理由なんてない。


「はぁ……二階堂くんと一緒にカレー作れるかな」

「なんか言われたらおれが間に入るよ!」


せっかく親睦を深められる機会なんだから、ギスギスした空気にはさせない。……ように頑張ろう。

おれにそんな役できるか不安だが…;


「……もし二階堂くんに嫌なこと言われても、
碓氷くんが庇ってくれたら、それだけで嬉しいかも…」

「えっ?」

「ごめんっ、なんでもないっ!」


『先生に報告してくるね』って言って、松雪さんはおれに背を向けて走っていった。


松雪さん……今、なんて言ってた??

おれ耳遠いのかな。みんな小声で言ってる言葉が聞き取れない。

聞き返してもなんでもないって言うし。おれって本当にコミュニケーションが苦手だ…。