瑠夏に続いてバスを降りる。

班で点呼をとってて、

まだ眠気が残ってて欠伸(あくび)をしたら、松雪さんが『碓氷くん』と声をかけてきた。


「眠い?」

「あ、いや。さっきまで寝てたから…」

「え、そうなの?」


ぐっすり寝ていたというのに、松雪さんは本当に『今知った』と言いたげに驚いた顔を見せた。

…通路を挟んではいたけど、一応同じ列だったのにおれが寝てたことに気付いてなかった?

瑠夏も寝てたはずだし、気付いてるものだと…。


「瑠夏も寝てただろうし、瑠夏越しに見えるかと思ったけど…」

「え?二階堂くん寝てなかったよ?」

「え?」


最初に『寝たい』って言ってたのに?


「うん、それで、
二階堂くんが…」

「……?」

「わざと荷物抱えたりして、碓氷くんを見せないようにバリケード作ってたの!」

「……へ?」

「ひどいよ!名前も呼んじゃダメとか言ってきたし、せっかく碓氷くんと話してたのに席交代するし!
二階堂くんって意地悪だよね!」


松雪さんがぷくーっと頬を膨らませて怒ってる。

あら…松雪さんがこんなに怒るとは…。


……って、瑠夏も何やってんだよ。

松雪さんと仲良くなりたくて同じ班になったんじゃないのか?

意地悪してたら嫌われちまうぞ。