だよなぁ…今日まで親睦会の誘い断ってたのになんでお前だけ?ってなるよな…ごめん松雪さん。

きっと松雪さんも瑠夏と仲良くなりたかったはず。


「あ…その、
もしよかったら、松雪さんも名前で呼んでいい、よ」

「えっ!」

「瑠夏も喜ぶと思…」


『思う』って言い終わる前に

視界が急に暗くなった。

原因は、隣から帽子を深く被せられたせい。


「瑠夏?起きて…」

「ダメ」

「え?」

「松雪さんは、名前で呼ぶのまだ早いから」


心なしか不機嫌そうな瑠夏は


「千早、やっぱ席変わって」

「え……あ、うん…」


自分で窓側が良いって言ったくせに、変わってと言ってきた。

……瑠夏って、案外気まぐれだよな。


窓側になると松雪さんと話しづらいから、『お菓子はそっちで食べて』と伝えて窓側の席に座る。

その後瑠夏が隣に座ると、おれの頭に被せていた帽子をひょいっと取り上げた。


「起こして悪い…うるさかった?」

「……あー……うん。ちょっと嫌だった」


まだ少し機嫌が悪そうな瑠夏。

そんなに大きな声で話してたつもりはなかったけど、眠りの妨げになるほどうるさかったのか。それは申し訳ない…。