バスの席順は決まってないけど、班でかたまるようにって言われてて
おれの班は残念ながらじゃんけんで負けて前の方。
佐野はバス酔いしやすいから良かったって言ってたけど
「後ろがよかった」
瑠夏は不服そうだった。
「ごめんね…うちがじゃんけん負けちゃったから…」
班の代表としてバスの席決めじゃんけんをしたのは松雪さんだったから
瑠夏の言葉が責めてるように聞こえたみたいで、あからさまに落ち込んでいた。
……ったく、瑠夏のバカ。
そんな言い方したら松雪さんが可哀想。
「松雪さんのせいじゃないよ…!
おれがじゃんけんしても、負けてたと思うから…!」
松雪さんを励まそうとしたけど
その後瑠夏が、『違うから』とおれの前に出て松雪さんに言った。
「ごめん、責めてるわけじゃない。
ただ、アイツらうるさいと思うから、ストッパーがいないと迷惑じゃないかと思っただけ」
瑠夏が指した『アイツら』とは、瑠夏たちがいつもつるんでるグループの人たち。
たしかに一番後ろの席を陣取って、バスが発車する前からうるさかった。
「松雪さんのせいとかじゃねーから。
とりあえずアイツら注意してくるわ」
席に着く前に、瑠夏は後ろの方へ歩いて行って
いつものグループの人たちの頭を軽く叩いて注意して、すぐに前に戻ってきた。
「俺藍の隣?」
「いや、後ろの班の小松も酔いやすいから小松が隣に来るって。
瑠夏は碓氷と隣な」
「りょ」