「親睦会って、べつに遠足が親睦兼ねたもんだからしなくてもいいと思うけどなー」

「でも、より仲良くなれる機会があるなら、おれはいいと思うけど」


おれの少し前を歩いてた二階堂が足を止め、くるりとこっちに振り返った。



「じゃあさ、
今この時も、『仲良くなれる機会』なんじゃね?」

「え?」

「俺と碓氷だけだけど」


『俺らだけ仲良くなっちゃうなー』と言いながら二階堂が笑う。

……いいのかよ。おれなんかと仲良くなって。


「……二階堂」

「ん?」

「………」


いいのかな。おれ。

友達みたいな顔して、いい?


「………瑠夏」

「……あ、名前」

「い、嫌ならやめる!」


やっぱり迷惑かと思って『忘れろ!』って顔を隠したら。


「やだ。
忘れねぇよ、千早」

「……!」


おれがめちゃくちゃ勇気出して呼んだのに。

にか……瑠夏は、普通に呼ぶんだよな。

誰にでも同じことできる人なんだよ。

でも…嬉しかった。


おれの名前、知っててくれたなんて思わなかったから。


すごく、嬉しかったんだ。