「え、もしかして碓氷好きな子いんの?」


おれの言葉からそう汲み取ってしまった二階堂が、じっとおれの顔を覗き込んでくる。


「好きな子いるよな?」

「えっ…だから違う…!」


まだ松雪さんが好きだと誤解してる佐野が、ニヤニヤしながら言う。

はっきり『松雪さんのことは好きじゃない』って言ったら、松雪さんに失礼かと思って遠回しに好きじゃないことを伝えたつもりだったのに、

佐野はそれを読み取ってはくれなかった。


……佐野、テストの成績はいつも学年1位なんだよな。

でも、学年1位のくせに察しが悪すぎるな。


「へー。
まぁせっかく同じ班になったんだし、今度聞かせろよな」

「だから違うって!」


完全に二階堂にまで誤解された!

佐野めんどくさい。こういう人の話聞かない系陽キャは陽キャの中で唯一嫌いだ。

……けど、おれと普通に話してくれてたな。

めんどくさいけど、嫌、ではないかも。