「ま、松雪さん…」

「名前知っててくれたんだー」


クラスメイトの名前は把握してるよ。

いや、そんなことより。


「い、いいの?
おれと班一緒で…」

「え?うん。
碓氷くんと一緒がいいなと思って誘ってる」

「……!」


余りもので、よかったのに。

お世辞でも嬉しいや。


「お、おれで良ければ…」

「やった!
ねー!碓氷くん一緒でいいー?」


松雪さんが友達の女の子2人に声かけてる。

こっちに近付いてきた2人は『いいよー』って笑顔で返事をしていた。

この2人も、そんな派手なグループの子じゃない。

居心地は良さそうかも…。


「女子は人数いいから、あとは男子だね!
誰誘おっか?」

「小松くんとかは?」

「小松くんいいねー」


松雪さんたちだけで話が盛り上がってる。

でも……小松くんか…喋ったことない…。

いや二階堂以外誰とも喋ったことないけど。こういう時選べる立場でもないくせに『小松くんはちょっと…』とか言えねぇしなぁ…。

かと言って、二階堂は無理だろうから『おれが選ぶよ』って言える友達いねーし…


うーん…と悩んで頭を抱えた時。


「なぁ、
俺たちと班一緒でもいい?」

「えっ!!」


松雪さんたち女子3人に声がかかる。

それは、おれが無理だろうと思っていた、二階堂の声だった。