『意外と狙ってる女子多いんじゃね?
今日も挨拶してた子いたじゃん』
……いやいやいや。そこまで自惚れてない。
いつも上手く返せなくて、素っ気ないヤツだと思ってただろうから、普通に返事されて意外だったのかも。
いつも挨拶してくれる、松雪さん。
派手じゃないし、グループにいるって感じしないけど、誰とでも仲良く話せる人。群れない陽キャって感じ。
上手く返事できなくても、こうやっておれを見捨てないで挨拶してくれる優しい人。
でも松雪さんは挨拶したらすぐに自分の席に行ってしまった。
……挨拶だけで、会話する気はないってことかな。
ちょっと悲しいけど、二階堂に挨拶するシミュレーションしてたから、今日は松雪さんにも挨拶返せてよかった。
二階堂と友達になったおかげで、少しだけ、上手くいってる気がする。
ありがとうの気持ちを込めて、グループの中心にいる二階堂をチラッと見ると
おれと話すときよりももっと笑顔で、腹抱えて爆笑してた。
……おれは、あそこまで二階堂を笑わせることできないな。
〝友達〟になったはずなのに、クラスではやっぱり、遠い存在なんだなって思い知らされる…。